ポータルの扉を叩けばー交差する時間ー

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北「ハァ…ハァ…、巻けたようだね。」




「ハァ…ハァ…ハァ…、もう走れない…。」




私はその場でしゃがみこむ。




もう元の場所には絶対に戻れない自信があるってく

らい、たくさんの角を曲がり走ってきた。




「どうしよう…嘉将くん置いてきちゃった…。」




北「え、なにYukiじゃなくて？」




北人くんは何言ってるの？って顔で見てくる。




その顔を見て気づく。




彼等は身内じゃない限り、コードネームで呼び合っ

てることに。





「そっそうそう！Yuki！」



北「どういう関係？なんであいつらと…、」



すると近くでサイレンの音が聞こえる。





たぶんこれは警察のサイレンだと、この世界の人間

じゃなくてもすぐにわかった。






北「とりあえず、こっち。」




そう言われてしばらくついて行くと、ひしめき合う

ように建つ、一件の雑居ビルに入っていく。





出入り口の頭上についている、廃れた看板を見れ

ば、「〇〇印刷所」と書かれていた。




その雑居ビルをエレベーターに乗ることなく、また

更に進むと、ここにも錆びれたドアが。





北人くんはその目の前で止まり、振り返りニッコリ

笑顔で言う。





北「たぶんみんな、ビックリするよ。」




「えっ…、」




その言葉と同時にギーッと重いドアが開けば、三台

のアメ車のような車と、各々に過ごすみんなが視界

に入る。






そして、一番会いたかった壱馬くん。




彼は車のボンネットにトランプを広げて、拓磨くん

と笑い合っていた。






北「ただいま〜！今日はお土産付きだよ。」




そう言いながら、先に入る北人くんの背中に着いて

行く。





北人くんの背中越しでも分かる、みんなの好奇心。









陣「って手ぶらじゃねーか！」





翔平「一瞬期待した私がバカでした…えっ？！」





翔平くんが喋っていたけど、私はひょっこりと北人

くんの背中から顔をのぞかせて、姿を現わした。





「どーも…お久しぶりです…。」





ラ「「「えっ？！！！！」」」

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