ポータルの扉を叩けば

８ ページ8

北「これは俺らのシンボル的なやつ。

弱き者を守り、秘密も守るためなら、

なんだってする。」



「秘密…？」



北「そう。まぁ、それは色々あるから説明しにくい

けど…いつか分かるよ、ここにいれば。」




「そっか…。

弱き者を守るか…、スーパーマンみたいだね！」



北「スーパーマン？」




また頭にハテナを浮かべて、首をかしげる北人くん

に、ハッとする。




そうだった、こっちじゃスーパーマンは存在しない

んだった。




「あっ…えっと、スーパーマンは困ってる人を助け

て、悪い人を倒すスゴイ人のことを言うの！」




北「へぇ〜。もっとそっちの世界の話し、聞かせて

よ。」



北人くんは目をキラキラさせて言うので、私たちは

その銅像の足元に座り、みんなが帰ってくるまで話

した。







ーーーーーー




北「それでそれで？」



「海は青くて綺麗で、海水はしょっぱいの。海の生

き物もたくさんいて…、」


北「しょっぱいの？水が？」


「そこに食いつくの？笑」





北人くんと話していて、二つの世界で共通している

ことを発見した。



それは空と海。




空は私のいる世界と変わらない。



けれど海は共通していても、こっちの海はもう遥か

昔から黒く、とても綺麗とは言えない状態とのこと。




「えっ、そしたら魚食べたことないの？！」



北「サカナ？なにそれ？」



北人くんは当然知りませんけど、って顔でいる。





「まじか〜！もったいないなぁ…お寿司とかすっご

く美味しいのに。あ、でも私の世界の北人くんは確

か、魚苦手だって言ってた気がする。」




前に見た、動画配信サイトで見たのを思い出す。







北「そうか…、そっちには同じ顔の俺がいるんだよ

ね。そっちでは俺と友達だったの？」



「いやいや！まさか！！」



友達になれたら、どんなに良いか。





あっちではテレビの中や写真の中の彼ばかりで存在

するはずなのに、存在しないように感じる。




未だ話の続きを待っている北人くんに、私の世界で

はアーティストであり、歌を歌い人気者で私とは会

ったこともなければ、この先も会うこともない関係

性だということを説明する。






北「歌を歌ってるんだ…。どんな歌なんだろう。」




上を見上げ、考える仕草をする北人くんの横顔を見

てピンときた。

９→←７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す