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田中「まったく、お父様になんと

説明すれば良いか…。」



頭を抱える田中の立場を今になって冷静に

考えることがてきて罪悪感に襲われる。



「ほんとにごめんなさい…。でも!でもね、

どうしても一刻も早く友達を助けたくて…、」


田中「…その正義感の強さ、お父様そっくりです。」


「えっ…、」


父の背中をずっと追いかけていたのに

父と似ている、なんて言われたことは

生まれて一度もなかったからか、

少し拍子抜けした。


その間に、竜に取り押さえられていた主犯の

男は機捜によって引きずられて行く。




田中は眉下げて微笑み、



田中「大切にして下さい、お友達を。」



私の手に小さな携帯用ハサミを手渡して

スタスタと外へ歩いて行く。

その後ろ姿に私は深く一礼し、

今度は茉莉花ちゃんの元へ。



「大丈夫ですか?立てそうですか?」


拘束器具の結束バンドを、田中から渡された

ハサミで切ると、色が変わるほど跡がついていて

その手は小刻みに震えていた。



茉莉花「ごめんなさい…。」


いつもバッチリメイクな彼女の顔はアイメイクが

涙で滲んで目の下は黒く、いつもの茉莉花ちゃん

とはかけ離れていた。



茉莉花「私が…私があの時…ついて行かなきゃ

こんな思いも…、みんなも巻き込むことに

ならなかったのに…。」



俯くその涙声は、か細い。



結束バントを切った私は、茉莉花ちゃんを

優しく抱きしめた。




「怖かったですよね。

でも、もう大丈夫ですよ。私の方こそもっと

強く引き留めていたら…。

ごめんなさい。」



きっとこの傷は一生癒えることはない。


悔やまれるが、過去には戻って

やり直せるわけでもない。


だけど、なにか寄り添える言葉をかけたかった。



茉莉花「Aちゃんは悪くないっ!

全部茉莉花がっ…、」

「もうそれ以上言わなくて大丈夫ですから。」



自分でも驚くくらい優しい声のトーンで

茉莉花ちゃんの背中をさすると、彼女は

今までの恐怖からか肩を揺らして泣き出した。



竜と光輝くんは察して、私たちの側から離れ、

私は茉莉花ちゃんの涙が落ち着いた頃、

救急隊の方にバトンタッチをした。





未だ俯き加減で救急車に乗り込む姿を

遠巻きに見ていたら、背後から竜と光輝くんが

私の両隣に立った。



竜「世間知らずのお嬢様が仇となったな。」


いつもより低めの声で厳しい一言。

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作品ジャンル:恋愛
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みそじ(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます!そしてお返事がかなり遅れてしまってすいません( ; ; )史上最強に亀更新になってしまっていますが、気長にお付き合いいただけたらな…と思っています( ; ; ) (2021年12月3日 18時) (レス) id: 66d9708aec (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - 怜菜さん» コメントありがとうございます!そしてお返事がかなり遅れてしまってすみません( ; ; )亀更新ですがこれからも頑張ります! (2021年12月3日 18時) (レス) id: 66d9708aec (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ(プロフ) - いつも更新楽しみです!もう〜竜!!光輝くんともどうなるか今後が気になります。 (2021年11月15日 7時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
怜菜 - 更新ありがとうございます。続きが楽しみです (2021年8月24日 13時) (レス) id: 546599bc4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みそじ | 作成日時:2021年8月24日 13時

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