８７ ページ37
そう言ってすぐに、真横から
機捜のパトカーが何台か徐々に近づいて
来るのが視界に入った。
そして脳内には田中の忠告が、赤信号を出す。
田中『…お嬢様、約束して下さい。私や機捜が
到着する前にお嬢様が到着してしまっても絶対に
一人で突入などはしないと』
でも、同時に茉莉花ちゃんの笑った顔が浮かび
胸が締め付けられる。
田中は一人での突入はダメだと言った。
だけど、機捜ももう目の前まで来ているし、
田中の到着も時期だろう。
それに私のGPSも管理している
田中のことがだから、きっと何かあっても
すぐに私の居場所も分かるはず。
とにかく、一刻も茉莉花ちゃんの元に行くことが
私の中では最優先。
そして私の身体は、田中の忠告なんぞすっかり
忘れてしまったかのように走り出した。
そろりそろりとバンに近づくと、
やはり車の中にはもういないようだ。
…と、なるとこの中か…。
廃れた倉庫を一瞬見上げてから、私は中に
入れそうな箇所を探しながら壁沿いにピッタリと
くっつきながら進んで行く。
そうしていくうちに、男たちの笑う声が
聞こえた気がして更に進んで行くと、
半開きになっているドアを発見。
その隙間からそっと中を覗くと、先ほどの数人の
男たちに囲まれ、どうやら両手を拘束されて
座らされている茉莉花ちゃんの姿をとらえた。
いた…！見つけた…！！
だけど、茉莉花ちゃんの髪は心なしか乱れていて
下を向いているため、ここからじゃ彼女の状態が
よく分からない。
まだ何もされてないのか、それとももう何か危害を
加えられてしまったのか…。
どうか後者の方ではありませんように…。
それからすぐにザッと男たちの手を見るが、
ここから見る限りは武器となるような物は
何も持っていないようだ。
持っている物としたら、数人が持つ火のついた
タバコくらいだ。
その時、上着のポケットで震える携帯に気付く。
画面を見なくても、その相手が誰だかは分かる。
私をここまで連れてきてくれたハイヤーは
あるのに、当の本人がその場にいないんだもん。
田中が今、ものすごい顔で私に電話をかけている
ことなんて安易に想像できたので、私はポケットから
携帯は出さずに電源ボタンを長押しした。
大丈夫…、私ならできる…。
いや…、やるんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 659人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそじ(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます！そしてお返事がかなり遅れてしまってすいません（ ; ; ）史上最強に亀更新になってしまっていますが、気長にお付き合いいただけたらな…と思っています（ ; ; ） (2021年12月3日 18時) (
レス) id: 66d9708aec (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - 怜菜さん» コメントありがとうございます！そしてお返事がかなり遅れてしまってすみません（ ; ; ）亀更新ですがこれからも頑張ります！ (2021年12月3日 18時) (レス) id: 66d9708aec (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ(プロフ) - いつも更新楽しみです！もう〜竜！！光輝くんともどうなるか今後が気になります。 (2021年11月15日 7時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
怜菜 - 更新ありがとうございます。続きが楽しみです (2021年8月24日 13時) (レス) id: 546599bc4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みそじ
| 作成日時：2021年8月24日 13時
