10 ページ10
□□□□□□□□
「…A」
今日の仕事を終えて帰り支度をしていると、後ろからお姉ちゃんの声がした。振り返る。
まだ白衣を着たままのお姉ちゃんが入口のところで壁にもたれかかってこっちを見ていた。
「もう、人の治療ばかりで自分のことは疎かにするのはAの悪いところだよ。今日、検診するって言ったでしょ」
「え?…あ、そうだった!」
すっかり忘れていた。朝、お姉ちゃんに言われたところなのに。
今日は私の定期検診の日だ。
ふわりと眩しいほどに白いお姉ちゃんの白衣が翻った。
「ほら、行くよ」
私服に荷物を抱えたまま大人しくついて行く。正直気が進まない。
検査の結果は誰よりも私がよく分かっているから。
MRIや脳波測定、簡単な問診を受ける。私のカルテをじっと見つめて、お姉ちゃんは小さく呟いた。
「変化なし、だね」
17人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな - 続き楽しみです! (2020年10月10日 22時) (レス) id: 95ffd40df7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねこた | 作成日時:2020年9月17日 3時