打ち解けるのに理由はいらない ページ24
やんややんやと持て囃される門下生らだが、先ほどの気迫はどこへやらたじたじになりながら一生懸命説明している。
12歳の龍之介は、辿々しいながらもこうしてああして、身体を動かして何とか伝えようと頑張っている。どうやって突いたんだ、と聞かれれば相手の後頭部を狙うように想像して、と何やら物騒な物言いをしていた。どさくさに紛れてスカウトもされていた。
腕っ節に自信のある隊士たちを戦闘不能にした師範代ことAは、下ろしたばかりの竹刀を構えて指導していた。内心、年下だからと侮っていた隊士らの見方は180度大きく変わった。現に、年下でも真選組最強と謳われる彼は18歳だ。ただ年長者だからという理由だけで師範代を任されたのではないことがよく分かる。指導には土方やいつの間にかいた近藤も聞き入っている。
最初の合気道の稽古も見ていたぞ、あれはどうなって投げ飛ばすんだと聞かれた長兄の孝太郎は筋肉の動きや関節の可動域について話し始めた。最大限の可動域を超えて抵抗しきれなくなるんです、と説くと実際に教えてくれと頼まれた。真選組といえど、全員が全員剣の扱いが上手い訳では無い。姉を除けば合気道が上手いのは彼だ。
次女の沙苗も、隊士たちが入る前の稽古について隊長格に話をしていた。いつもああなのかと聞かれると、普段はあれよりももう少し長いですと説明した。トータルして2時間から2時間半ほど、と。脱水症状などを心配されたが、水分補給はちゃんとしていますと返した。
三女の美菜、四女の沙代を相手していたのは山崎だった。身体痛くない? と尋ねるといつもはもうちょっと痛いと返された。例え幼い妹たちでも、師範代は容赦ないらしい。怖いと恐れるどころか、久しぶりに姉と一緒に稽古ができたことが嬉しいとにこにこ笑っている。「姉ちゃんと一緒にお風呂入るの」と満面の笑みで言われたらそっかあと言う他ない。存分に入ってくれ。バスクリンいい香りのやつ買ってきたから。
ある程度、興奮が収まったところで風呂入ろうという流れになった。当然ながらレディファースト。男どもはすっかり打ち解けたらしく、背中流してやると肩を抱かれていた。昨日隊士たちに脅えてなかったか君ら。
長女、次女、三女と四女が防具を外して竹刀を戻した。ちなみに、道着は真選組のもので比較的綺麗なものを洗濯したものである。
「じゃあ、お先します」
「おさきしまぁす」
「沙代、寝るなよ」
「ねないもん」
「あっ、神楽ちゃん!! おはよう!」
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時