続★マシンヌンキム家 ３

愛しいと思う気持ち【JN】 ページ29

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『嬉しいんでずっ、』

「…え？」



てっきり怖かったことを思い出して泣いているかと思えば。

涙を流しながらもふにゃりと笑うAちゃんに、慰めるために伸ばした手が行き場を失う。

　

『ふ、不謹慎でごめんなさい…、でも、先輩がすごく心配してくれたのが伝わって…、』

「…そんなの、あたりまえじゃん。」

　


心配なんてもんじゃないよ。
　

海の家に行ったはずなのに、中々帰ってこない2人に、心配になって辺りを探してみればどこにもいなくって。
　

何かあったらどうしようって気が気じゃなかったよ。

　

　
『何を言いますか！！

私からしたら、ソクジン先輩が私の彼氏でいてくれてること自体が奇跡オブ奇跡なんです。

先輩の行動一つで、私はこの世の誰よりも幸せになれちゃうんです…！！』


　
涙ながらに力説する彼女の勢いに押されてしまう。
　
だけど、言ってることはめちゃくちゃ可愛くて、思わずにやけそうになる顔を手のひらで抑える。





『これぞ、怪我の功名…』

「ふはっ」

　
　

そんな僕には気付かずに、おバカなことを呟くAちゃんに、我慢できずにふき出してしまった。


　



　



ほんと、なんでこの子は…


　





　








『？？

先輩？どうしました？』

「…ううん。」


　



　




なんでAちゃんは、

僕のことなんかを、
こんなにも好きでいてくれるんだろう。






　





　



不思議そうにこちらを見つめる彼女が、可愛くて仕方がない。


口元にできた痛そうな傷を見ると、やっぱり苦しい。


　
　





だから、

もう、絶対こんな目にはあわせないようにと心に誓う。




　


大切にしたいんだ。

こんな子、どこを探したって、絶対他にいないから。



　




　





「僕も、Aちゃんのおかげで、いつも幸せだよ。」

『！！
　
光栄です！！』

　

　

ピッと敬礼するAちゃんにもう一度笑い、
　
傷口に触れないようにキスを落とすと、彼女の顔は真っ赤に染まる。

　


　


　



　




　



『…も、

もう一回、おねがいします。』

　


そう言って、僕を見上げて目を閉じる姿に、子ども達を見て感じる愛しさとは、また別の感情が込み上がる。

　


　




　



　

この子は、

僕の弟たちにとっても大事な女の子。

　


だけど、
　



「1時間じゃ足りなかったな…」

『え？』

　
　








今だけは、

僕だけのものでいて。

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