二十四話 ページ24
それはそうと、先ほどから彼の片手に握られているあるモノが気になる。
YG「…琵琶か。」
SJ「へぇ。ジョングク琵琶なんて弾けたんだ？」
『聞いたことない…。』
彼が、舞台の中央で立ち止まった瞬間に、会場全体の空気が変わったのを感じる。
薄暗い中でも確かな存在感を放つ彼は、幻想的な程だった。
JK「ハン家スンヒ様に続き、チョン・ジョングクから、A様へ、歌を用意しました。」
『…歌…？』
ジョングクが歌っているとこなんて見たことがない。
驚いていると、ふと、彼と視線がぶつかる。
じっと見つめられて、何も考えられなくなる。
私と彼の距離は、離れているのに。
今日のジョングクには、それほどに圧倒される何かがあった。
断りを入れ、地面に座ると、弦を指で軽く弾く。
それから、心地よく響く琵琶の音色。
ああ、何も心配することなんて無かった。
とても上手に弾いている。
そして、
それより驚いたのが、彼の歌だった。
少しだけ鼻にかかった美しい歌声が、心に響いてしょうがない。
なんて優しく歌うんだろう。
それは、この会場にいる他の者も同じようで、ただひたすらに、彼の歌声に聞き入っている。
知らなかった。
彼にこんな一面があったなんて。
恥ずかしがり屋のジョングクが、こんなに大勢の前で歌うなんて、きっと葛藤があったろうに。
何故だか、少しだけ切なく響く彼の歌声に心を奪われてしまう。
暖かいのに、どうしてか少し胸がきゅっと痛くなるような、そんな…。
どうしよう。
目が逸らせないよ。
最後の琵琶の音が響き、曲が終わると、
ジョングクは立ち上がり深く頭を下げる。
すると、時が止まったかのように静まり返っていた会場に、割れんばかりの歓声と、大きな拍手が巻き起こる。
JM「いいぞー！ジョングク！」
HS「最高！！」
沢山の拍手を浴び、ホッとしたように笑う彼は、いつも通りの可愛いジョングクで、何故だか少し安心してしまう。
こちらを見た彼に、笑顔を返すとさらに嬉しそうに目を細め、口をパクパクと動かす。
《お、め、で、と、う。》
『ありがとう。』
今日を一生、忘れないね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1572人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミロ(プロフ) - TENNさん» TENN様 実は…暁のヨナ大好きです(^^)おそらくめちゃくちゃ影響受けてるし参考にしてます！（ ; ; ）ヨナみたいなファンタジー要素がないのでこの先違ってきちゃうのですが…、楽しんでいただけると嬉しいです（^人^）わー、テンションあがっちゃいました（笑） (2019年10月30日 8時) (
レス) id: 5bc7eaedbd (このIDを非表示/違反報告)
TENN - もしかして暁のヨナ読まれてますか？読んでいて通ずる所があったのでもしかして、と思ったんですが（´-`）.｡oO私も宮廷物？の話が好きなのですごく面白く読ませて貰ってます(*^^*) (2019年10月30日 2時) (レス) id: 8a45b3191e (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - Agust dさん» わ！投票ありがとうございます！(´；ω；`)この主人公はいい子にしよういい子にしようと気をつけたので、そう言っていただけて嬉しいです(o^^o)ユンギペンなのですね！素敵なお名前だと思っておりました！ちょこちょこ登場ですが、このお話のユンちゃん気に入ってます笑 (2019年10月21日 21時) (レス) id: 5bc7eaedbd (このIDを非表示/違反報告)
Agust d(プロフ) - ちょうど300票目を入れさせていただきました。 姫のような純粋無垢の女性は素敵で憧れます！ 誰とくっつくのかが楽しみです♪ ユンギペンなのでユンギとの絡みも楽しみに読んでいこうと思います！ (2019年10月21日 13時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - ムンバイさん» ムンバイ様 えーー！？！？嬉しすぎます…！！震えながら更新してるので、本当に励まされます…！！ありがとうございます！（ ; ; ） (2019年2月23日 21時) (レス) id: e396746b53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミロ
| 作成日時：2019年2月14日 23時
