勝利の煙草はまた後で ページ10
「もうＣ組が終わりましたよ」
「そうですか」
背を向けたまま、そう静かに返す。
「いいんですか？ 全クラス見ないで」
「問題ありません」
成績をつけるときは録画を見るし、ベストパフォーマーはもう、ほぼ決まっているし。
それに、
「少し、落ち着かなくて」
カルエゴ先生とのデュエット、そして。
「……煙草でも吸います？ 屋上で、他に悪魔もいないですし」
「…………いえ。それは、終わってからにしようかと」
「煙草の箱を手に持っているのに？」
「……我慢しているんです」
歌う前なのに、煙草を吸ったら、流石に喉へのダメージは大きい。
「……終わったら、その炎をお借りしても？」
「お安い御用です」
「…………緊張、してますか」
「どちらかと言うと、私より、イフリート先生の方が」
ここでようやっと振り向くと、案の定、イフリート先生の目は、泳ぎまくっている。
「……重大な役目をお任せしてしまい、申し訳ありません」
「いっいえ。対ツムルには僕なのは、わかっていますし」
あら。
「私の我儘に付き合ってくださった皆さんには、本当に感謝しているんです」
「……こちらこそ、楽しみにしています」
「…………そんなことを言われてしまったら、頑張るしかないですね」
「それは僕も同じです」
『おい、どこにいる。さっさと戻れ！』
……あら。ムードぶち壊すのが趣味なのかしら。
「カルエゴ先生からの催促ですか」
「……時間ですね」
「はい！」
ではーー
「参りましょう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Sela | 作成日時：2023年3月19日 10時
