私怨は後回し、か………… ページ38
※作品の都合上、時間軸がかなりずれているところがあります。
ご了承ください。
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「あら、」
「なっ、！！！」
「こんにちは。今日は良い天気で、絶好の戦い日和ですね」
ーーアンドロ・M・ジャズ君。
まさか、最初に遭遇できた生徒が、彼だなんて。
かつて盗まれた楽譜が、私の運を強くしてくれたのかしら。
嬉しいことね。八つ当たりにはピッタリの相手じゃない。
………………それにしても、彼１人……ハートが、無い。
「ちなみにジャズ君。ハートはどちらに？」
「ふっ、そう易々とは渡しませんよ」
「へぇ？」
ーーと、まぁジャズはかなり強気。
が、しかし、会ってからずっと、モネは変わらず無表情。声のトーンは明るくて、優しいお姉様、みたいな雰囲気にも関わらず。
目は、笑ってもいないし、怒ってもいない。
無。
怖い。
「これ、“
「……成程。物理的にも、魔術的にも、強度が高い。それは厄介ですね」
ちなみに、相性はあまり良くない。
モネにとって、そんな金庫は、奪うことさえできれば問題ない。むしろ、これの破壊は専門分野といっても、過言ではないくらいである。
が、中に生徒がいるのなら、話は別。
教師という立場を、うまい具合に利用されている。
「暗証番号は、俺しか知らない」
「風船を割るには、俺の口を割らなきゃいけないっつーことです」
……へぇ。
「随分と面白い話を。覚えていますか？」
「私が、拷 問学の免許を、持っているということを」
「っ、！」
「当然、実践も、私の専門範囲内です」
…………あぁ、こんなに堂々と、この生徒を拷 問できるのなら、私も器具の使用申請をしておけばよかった、、
……いや、やめよう。
そんなことをしたら、多分私は、怒りと楽しさに止まれなくなる。
「ただ、非常に残念なことに、私は拷 問器具を、使用する許可を得ていないので。………………マルバス先生」
「えっ、気づいていたんですか？」
「逆に気づかれていないとでも？」
そんなに目をキラキラさせて凝視して…………
怖い。普通に。
「良かったですね、ジャズ君」
ようやっと、モネはその表情筋をうごかす。
「マルバス先生は、拷 問器具の使用許可、得ていますよ！」
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作者名：Sela | 作成日時：2023年3月19日 10時
