赤色の過去 ページ10
…少し前の話をしようか。僕の真っ赤な炎に焼かれた、あの寒い冬の日の話を。
〜BroooockSide〜
「本気でやってねえじゃん。だから勝てねえんだよ!」
僕の体に打ち付けられる、ムチ。
傷だらけの腕を引きずりあげ、視界の80%を奪うほどの巨大な鉄塊に魔法を浴びせていた。
「駄目!ポージングがなってない!」
「終わったよ!これで...もう今日は良い?」
一日3時間にも及ぶ過酷なトレーニングは、僕を限界まで疲れさせていた。
でも、本家に嫉妬している両親は、許してくれるわけもなく。
「ぶるっく!ちょっと来なさい...」
「こんな成績じゃ、炎の一族の跡取りとして恥ずかしいでしょ。」
突き出された通知表には、どんなに頑張っても報われないことを表していた。
僕は分家の子孫なのに、炎の一族の本家を超して、正式な跡取りにしようとする、両親の過剰すぎる期待が、僕を逆に締め付ける。
「こんなんじゃあの子には絶対に勝てないわよ。」
「「あの子」」が誰を差しているか僕は知っていた。けれど認めたくはなかった。
「シャークんは...一日3時間も特訓とかしてないでしょ、自分の時間があるんだよっ!」
そう、戦闘試験の結果も。
テストの結果も。
いつも2位なんだ。
「もう一回行ってみろ?」
父が怒りだす。
「だからっ!お父さんの稽古のせいで勉強ができないんだよっ!」
僕は久しぶりに怒ってしまった。
「ぶるっく、ちょっと落ち着きなさい!」
母が急に心配しだす。そりゃあ、そうだよね。
「落ち着く必要なんてない。僕は、素直に従おうとか、思ってないから!」
ついに僕は爆発させた、今まで抑えてきた本音を吐いた。
それと同時に、怒りは形となって表れ、炎となって吹き出し...
気が付けば、目の前は。
真っ赤に染まっていた。
「え…」
僕は驚いた、拒絶した。
自分の行いに。
「なん、で…」
轟音を響かせながら焼け落ちていく僕の家。
僕は自分の両手を広げた。
そうだ、この時からだ。
僕が自分の、恐ろしい力に気づいたのは。
今までは、ただの失敗だけだと思っていた...
「はは…僕、また、やっちゃったよ...」
そして同時にこのとき気づいた。
あれだけきついことを強いられてきても、
大好きな両親だったんだ。
涙が、一滴落ちる。
そして、僕は決めた。
僕の幸せを奪った、この力に。
僕と世界、両親を狂わせた、魔法に。
魔力によってすべてが決まってしまう、この世界に。
復讐する。
164人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっきー(プロフ) - ちょっと修正を入れました (2019年5月5日 5時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - ムックさん» 学級閉鎖おめでとう( ;∀;) (2019年1月30日 4時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
ムック - 元気じゃない!弟の方がなぜか元気だよ!咳がヤバい、喉痛い (2019年1月23日 14時) (レス) id: 0c8dec5eed (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - ムックさん» うん…知ってた…。ってか元気だね (2019年1月23日 3時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
ムック - らっきーさん!お知らせだ!私インフルA(多分弟のせい)psメモは友達に言うから友達に渡してくれ (2019年1月22日 16時) (レス) id: fb1e724205 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ