28話 - 全ての私 ページ28
『あっ、あの……ッ、降谷くっッ』
抱きしめたまま力を緩めない降谷さんに私の中の何かが限界に達し降谷さんに声をかける。
プスプスと頭から火が上がりそうな程頬が熱い
『降谷くんッ…ふ、ふる…ッ……………零くん!』
降「ッ!!A今ッ…!」
いつもと同じ言い方で反応しない降谷くんに、さっき班長に聞かれ言った呼び方をしてみた。
急に名前で呼ばれた事に驚いたのか肩をガッと捕まれ瞳をじっと見つめられた。
そんな降谷くんの瞳に映る私の顔はとても赤くて、そんな表情が反映されるみたいに更に顔が熱くなる
『ぅッ…ぁっ……ふ、るやくん…ッ…………も、もう離し…て……』
降「あッ、あぁッ!悪い…ッ!」
『…………』
降「…………」
『……っ、め!面談は以上ですか!?』
降「ッあ!そ、そうだな!皆と合流しようか!」
『で!ですね!』
うわっ、うわぁ……なにこれ…ッ、すごく熱い……心臓がうるさい…
部屋の空気を変え皆が居るであろうリビングへと向かう。
そこまでの通路に何個か窓が設置されていて風も通っているけれど、どうやっても熱が下がらない。
この感情が、反応が何なのなかは分からない。
何に反応して何でこうなったのかも分からない
けど、今はただ……降谷くんに対してとてもドキドキしている私が居る。
そう……降谷くん "に" だ。
降「……A。」
『はッッ!はい!!』
降「これからも僕の事、零って呼んでくれて構わないから」
ピタリと動きを止め、私の方を見ることなくリビングの扉を開けて中に入っていく降谷くんの後ろ姿に私も動きを止めてしまう。
なかなか中に入らない私を皆がみて首を一瞬傾げるもニコっと笑顔を浮かべ「A」と手を差し伸ばす
そんな光景が、凄く暖かくて…嬉しくて悲しくて……泣きそうになった。
皆のことを忘れていても、忘れる前の私は絶対にこの人達が大好きだったんだ
きっとそれは今も変わらなくて………
『班長、萩くん、陣平、景…零……』
私が呼びたかった呼び方で呼んだ。
班長は分かってるから笑顔のままだった
でも、皆は驚いたような表情をしていて……前も私は皆をこう呼んでたんだって知らされる。
『記憶が戻っても、今の私を好きでいてくれますか』
少し怖かったんだ。
今の私と前の私、両方好きでいてくれるのか、嫌いにならないか……
「「「「「そんなの当たり前だ!」」」」」
そんな不安は、杞憂だったみたいだ
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ネコ枕 - 景光落ち最高です..話も面白くてすごい好きです!! (1月14日 2時) (レス) @page47 id: eb7a4a6b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みらい@マサイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mirai1212
作成日時:2023年12月6日 19時