1/2222の奇跡を【ヒロアカ】

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「ありえない……」


「どうかしたかい？」


「いえ、独り言、です……」


轟焦凍と緑谷が対戦することなんて1度も無かったはずだ。


彼は決勝準決勝以外を氷のみで一瞬で決め、決勝で爆豪に敗れる。ここまでは変わることのないはずの決まり。


それが何で緑谷と耐久戦を繰り広げている？ そもそも緑谷は……


今までの世界で何をしていた(・・・・・・・・・・・・・)？


何も、思い出せない。彼に関するエピソードが何も……少しくらいはあってもいいはずだ。


「あの、リカバリーガール」


「なんだい？」


「騎馬戦の結果って……」


「轟チーム、爆豪チーム、心操チーム、緑谷チームの順だよ」


やっぱり、違う。4位は今まで……拳藤さんチームだったはず……。じゃあ、緑谷はどこに？


いない。記憶のどこを探しても、緑谷なんて出てきやしない。彼は何者だ？ 今までどこにいた？ 何をしていた？


私の中で緑谷がどんどん得体の知れない人物になっていく。


「顔色が悪い。もう少し休んだ方がいいね」


彼がもし……もし世界の決まりと別の動きをするようなら私は……。


「……行かなきゃ」


「喩語……！？」


「ごめんなさいリカバリーガール、治癒ありがとうございました」


駄目だ休めと、この部屋から出ることを許可してくれない。


ごめんなさい。休んでる暇なんて無いんです。私には。やらなければならないことがある。


「……私ったら、治癒で体力を消耗しないみたいです」


「この期に及んで何言ってんだい！」


「ありがとうございます、それでは」


怠さはどこかへいき、体が軽くなったように思えた。ベッドの横の運動靴を足に引っ掛けて駆け出す。


私には、彼の試合を見届ける義務がある。

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