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episode29 ページ32

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慌てて凛子を追いかけグラウンドの方へ行くと、もう私たちのチームの招集は始まっていたみたい。

「いっそげ〜」
にこやかな笑顔を添えて、我らがキャプテン今市隆二さんが私たちに声をかける。

『「ごめんなさい!!」』
息を切らして走る。それはもう必死に。


私たち以外の7人のメンバーはすでに揃っていて、あとは私と凛子が点呼を終えたらプレイボールだ。




対戦相手はと言うと...
なんと登坂さん率いる、いかにもスポーツができそうな雰囲気を醸し出しているツワモノぞろい。経験者である私はさておき、凛子は大丈夫だろうかと横を見ると、大丈夫なわけがない。苦笑いが止まらない凛子がいつもより一回り小さくなって佇んでいた。


「な、何でこのいかにも強そうなチームと1回戦目から当たるのよ...。」
口を尖らせて呟いている。

すると登坂さんがこっちに向かって歩いてきた。


「この間は愚痴に付き合わせて悪かった。」

『いえいえ!こちらこそ、奢っていただく形になってしまって。本当にありがとうございました。』


「そう言えば、ソフトやってたんだって?
隆二から聞いてるぞ。」

なぜ今市さんが私の部活事情を知っているのかは謎だが...
『はい、、学生時代に少し。』

そう言うと
「革ボールって使ったことあるか?」と聞かれる。


触ったことがないわけではない。だが中高生女子のソフト界ではゴムボールが主流なので、遊び程度でしかない。手が小さい私みたいなタイプには、革ボールはとっても扱いづらいものだった。

『ありますよ!少しだけなら。』


どうやら登坂さんもソフトボールをやっていた時期があったらしい。基本的にはサッカー少年だったと言うが。

「革だとちょっと滑るけど、俺はあのインパクトのある色が好きだな!」と、不器用な笑顔で話す。









だが私は、”色”という言葉に緊張を走らせていた。

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作者名:さえ | 作成日時:2019年5月26日 10時

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