何色の花ですか？ (ページ14)

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episode１１　side登坂ページ14

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雨の降る夜だった。

朝の天気予報では10時には雨が上がると言っていたから、雨宿りがてら小洒落たバーのドアを開けた。

何の気なしに入ったことを、数秒後俺は死ぬほど後悔することになる。

自分の目を疑うとはこのことかと実感した。

仲睦まじげに酒を酌み交わし、明らかにコイビトの距離で手を握り合っているカップルが1組。そしてそれは紛れもなく、俺のカノジョだった。

つい30分前、《お仕事お疲れ様。雨降ってるから気を付けて帰ってね！》というメールが届いたばかりだった。
明日香はどんな顔をしてこのメールを送ってきたんだろうか。

「おい、何してんの？」
自分でも信じられないくらい低く冷たい声が出た。

「えっ。臣？どうしてここに...」
明らかに挙動不審になる。

俺が心から愛し合えていたと思っていた彼女は浮気をしていたのだ。
信じられなかった。この状況も、自分の目も。

優しくてよく気が利いた。
料理も上手なデキタカノジョ＿＿＿＿＿＿