episode9 side登坂 ページ12
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もう、女はいらない_________
そう誓ってから3年。
俺は傷を癒すが如く仕事にのめり込んだ。
若いながらに係長まで任されるほどになれた。そんな自分をよく思わない奴がいることは重々承知だ。でも、それだけの努力はしてきたという自負はある。
すっかり忘れられたつもりだった。
でも、どこかまだ心が痛む時がある。
何がいけなかったんだろうか、どこで道を踏み間違えてしまったんだろうか。何度考えたところで、欲しい答えは闇に葬られたまま。本当は答えなんてものは存在しないのかもしれない。俺は俺なりに、ちゃんとアイツのことを愛していたつもりだった...
でもいつの日からか、2人の歯車はガタガタと小さな音を立てながらズレ始めていた。ソレが完全に狂ってしまうまで、俺は少しも気付くことが出来なかった。
今でも考える。
俺はアイツに``明日香``に何がしてやれたんだろう。
それが分からないから、また相手を傷付けてしまうんではないかと思う。
...というのはただの口実で、ただ自分に一歩を踏み出す勇気がないだけだ。俺は臆病な人間なのかもしれない。
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作者名:さえ | 作成日時:2019年5月26日 10時