【2BRO.】飽きるまで (ページ6)

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#6 得意不得意ページ6

ー薬学ー

「今日は味変薬を作ってもらいます。
味変薬とは読んで字のごとく味を変える薬です。
主に小さな子供に対して使うことが多く、苦手な食べ物を克服させることが目的に作られました」

先生の話を聞きながら、ある程度の手順を頭に叩き込む。

私にかかればすぐ終わってしまうが、ここは同班の弟者くんに任せてみよう。

「では、始め！」

教科書類を全て机にしまい、鍋を囲った。

「えーとまずは、なんだ、えーと」

「大丈夫？弟者くん」

「大丈夫大丈夫！」

弟者くんが薬学に対して苦手意識を持ってるのは分かってる。

完璧人間でも苦手なものというのは存在しているんだな。

それでも手順や材料は全て正解だ。

「次は…」

「まって」

私はユニコーンの角を折ろうとした弟者くんを止めた。

「ユニコーンの角は衝撃に弱いの。
だから折らずにそのまま角でかき混ぜて」

「え、そうなの？」

「そうすると熱で甘み成分が溶けだすんだよ。
それと火はなるべく弱く、強すぎると甘みが飛んじゃうから」

「流石Aさん！」

「ほら、沸騰しちゃう前に弱火にして」

「うん！」

薬学において、素材の性質を記憶するのは必須。

子供向けの薬に必ず使われるのはユニコーンの角で、熱と衝撃に弱い。

覚えておいて損は無い。

「Aさん、これでいい？」

「うん、大丈夫だよ。
先生に見せに行こう」

作った味変薬を先生に提出すると、最高評価をくれた。

「ユニコーンの角を折らずかき混ぜたのは貴方達の班だけです！
素晴らしい！」

「恐縮です」

「ありがとうございます」

弟者くんは「ありがとね」と笑った。