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第4章-5 ページ35

「うーん……」

 自然と声が小さくなる私たち。

「兄貴はあたしとの約束は絶対に破らないよ。だから他の人か……邑、あんたの友達とか?」
「それこそ分かんない……」

 友達なんていなかった。
 それなら小さい妹たちの方があり得る。あの時、やっぱり妹たちは家を抜け出していたらしい。

(でも寮父が裏口から入ってきたとき、鍵はちゃんとかかっていたような……どうだっけ……)

 しばらく考えていたけど、先に動いたのはやっぱりビーさんだった。
 抜き足差し足で表玄関に向かっていく。
 私も慌ててそれについていく。
 玄関に近づくにつれ、ポケットを探るような音が――正確に言えば、鍵を探すような『じゃらじゃら』という音が、聞こえてきた。
 その音には、聞き覚えがあった。

「嘘……!」

 思わず駆け出す私。

「おいこら!味方か分かんないのに!」

 ビーさんが小声で叫んでいたけど、それを無視して私は走る。角を曲がって、玄関で。



 鍵を玄関に差している、青いオーラの寮父がいた。



 ん、と顔だけ振り返る父。
 私を見て、そして少し上を見て――おそらく私のオーラを見ている――もう一度私を見て、気まずそうに鍵から手を離して頭をかいた。

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………よお」

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作者名:めいろ | 作成日時:2019年12月16日 22時

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