第4章-4 ページ34
私は精神的な幼さを浮き彫りにした愚妹に怒りを覚えながら彼女を追う。
「裏に勝手口があるよ。そこから入れると思う」
「オッケー。案内よろしく」
「わかった。……こっち」
「あ、でもまずは彼らがどのくらい家の中にいるのか見たいな」
「カーテンは全部閉めてから来たけど……あ」
全ての部屋のカーテンを閉めていたはずなのに、食堂だけカーテンが開いていて、中の様子が丸見えになっていた。
ビーさんと私は揃って顔を近づけた。
廊下をうろうろと動き回る2つの影が見える。
でも、いくら目を凝らしてもそれ以上の数の影は見えない。食堂の扉が閉まっているから誰なのかもよく見えない。
「赤いオーラの人って、階段は上れるの?」
私は顔を窓にくっつけたままビーさんに聞く。
「上れない」
「じゃあ2階に避難すれば逃げられる?」
「でも木をよじ登ることはできるから、その気になれば壁をつたうことだってできるよ」
「キモ……」
「あたしだってその気になればできるよ」
「……」
「あまりやらないけど。疲れるし。キモイって思われるだろうし」
「……ごめんなさい」
「いいって。慣れてる」
ビーさんはぶっきらぼうに言った。
気まずい空気をどうにかしたくて、私は口をぱくぱくさせる。
「……あ、だから皆、スポセンで奴らを投げ飛ばしたり人を片手で担いだりできたんだね」
「そ。あたしはムキムキマッチョにはなれなかった。……あ!」
うろうろと動き回っていた影の主が、ついに扉を破壊して姿を現した。
……夏だった。
思わず目をそらす。よだれをたらしながら歩く妹の姿なんて見たくなかった。
「どんまい」
ビーさんはこちらがびっくりするほど軽く笑った。
「でも見た感じ、夏ちゃんともう一人しかないね。それなら薬も足りる。治療できるよ」
「よかった……」
「あとはあんたのお母さんの無事を確かめよう。夏ちゃんがあの様子だし、お母さんをちゃんと見てくれてる人がいないんじゃない?」
「……!」
ビーさんの言葉が頭の中をぐるぐる回る。心臓の音がいつもより速く近く聞こえる。
「あれ?」
と、ビーさんが窓から顔を離した。私も続いて窓から顔を離す。
ビーさんが何に驚いているのかは、周りを見渡さなくても明白だった。
真っ赤なオーラしか発していなかった我が家の、表玄関の方から青いオーラが立ち上っているのだ。
「兄貴さんかな?」
「何で?兄貴はコンビニの人を連れて先に基地に戻ったはずだよ」
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作者名:めいろ | 作成日時:2019年12月16日 22時