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第4章-3 ページ33

「今回の暴動は博士や大将が調べてるけど、前代未聞だしかなり大規模……。いつから計画されてたのかも分からない。勇者の森で暴れ出したのだって、大人から子供まで数十人。戦争になるかもね」
「そうなんだ……。ん?黒い煙の人って……?」
「新人を殺せる抗体遺伝子を持った人たちのこと。滅多にいないけど、政府が密かに開発してる。あと赤いオーラも見えたら逃げて」
「黒と赤……」

 黒と赤。黒と赤。よし、覚えた。

「遺伝子の異常は赤いオーラで見えるから。すぐ逃げるんだよ」
「逃げるって……どこに?逃げても逃げても、追ってくるのに?」
「青いオーラが見えるまで」
「…………」
「大丈夫。たとえはぐれても、あたしたちはオーラがあるから絶対会える。基地までしっかり案内するからね」
「……ありがとう」
「よし」

 と、ビーさんは満足そうに頷いた。私にその場で待機するよう伝え、兄貴さんのもとへ静かに歩いていく。

「兄貴」
「わかっとる」

 兄貴さんは頷いてレジの向こうをちらりと見た。この2人、コンビを組んで長いのかな?ビーさんは何も言っていないのに、兄貴さんは言いたいことがすぐに分かったらしい。
 さすがすぎる。
 そういう友達が、相棒が、私にもいたらいいのに。

「またあとでなぁ」

 兄貴さんは私に敬礼の仕草をする。
 私も笑って同じように返した。

「無事でいてね」


◆ ◆


 白と黒を基調とした、現代的なデザインの少し大きめな家。
 それが私の家。孤児たちを保護する施設。
 我が家は何も変わらない姿で安心。
 私は思わず駆け足になる――けど。

「……!」

 家の前で、思わず、佇んだ。

 2階建ての施設から、赤い――火事と見紛うほど真っ赤なオーラが、立ち上っていた。

「うそ……」

 絶句していると、遅れて走ってきたビーさんが「あー……」と同じように家を見上げる。

「ビーさん、これって……そんな……」
「……」
「お母さんがゾン……『新人』になって夏を襲った……?」
「それは分からない。誰が遺伝子持ってるのかあたしは知らないし、正常に発症する人と異常を起こす人がいるし。それか、夏ちゃんが誰か家に入れたとか?」
「え!入れるなって言ったのに!?」
「仕方ないよ。『助けてくれ!』とか言って逃げてきた人たちの誰かが異常に発症したんじゃない?」

 そういう人はたくさん見てきた、と言いながら、ビーさんは家の壁に沿って歩き始めた。

「夏の奴……」

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作者名:めいろ | 作成日時:2019年12月16日 22時

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