4話 ページ4
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暗に聞くことをしないのは、これまた私と鬱くんに付きまとう『幼馴染』という関係に問題があった。
ただの幼馴染にわざわざ「昨日誰とどこにいたの？」と聞くのは何となくおかしいし、それこそ私が鬱くんを毎日待っていると思われるのもなんだか釈だった。
来ればそれ相応の対応でもてなすけれど、来なきゃ来ないでいい、というスタンスでやっていきたかったから。
けれど、私の中に近頃芽吹きはじめた厄介な感情が、そのスタンスを微妙に崩しつつあった。
鬱くんに恋愛感情が沸いただとか、そういうことならまだ簡単だった。でも、そうではない。
会社の昼休憩、食堂で震えた携帯が表示させた文字列を目で追い、私はまたこの感情に振り回される。
『今日寄るとこあるから会えへん ごめんな』
だから、約束してるわけじゃないのに。私が会いたがってるわけでもないのに。勝手に来てるのはそっちなのに。
謝られることも何も無いのに一方的に謝られ、一方的に謝られた結果私は勝手に喪失感を感じているのだ。
『会えない』という文字に、少しだけ胸が重たくなる。
そして、勝手に勘ぐってしまう。
「大先生なんやって？」
「！ちょっと、勝手に見ないで！」
横からにゅっと顔を覗かせたコネシマくんから慌てて携帯を背ければ、「会えへんて、アイツAが寂しがっとるとか勘違いしとんちゃうん」とケラケラ笑う。
その顔からそろりと目を逸らし、胸の蟠りにそっと触れる。
寂しい云々の前に、私は思っていた。
私が弱いあの笑顔を、何を作っても『美味しい』と笑うあの顔を、誰か他の人に向けているのは面白くない、と。
我が物顔で家に居座る彼に『家帰れ』と思うし言うのにも関わらず、いざあからさまに他の人の元へ行かれると少しムッとしてしまうのだ。
まるで、ご飯を食べさせてくれる且つ寝る場所を提供してくれる人なら誰でもいいと言われているようで女心に腹が立つ。
だったら。
わざわざ他の女の人を見繕ってフラフラしているくらいなら、私の所に来てもいいのに、とまで思ってしまっていた｡
面倒だなんだと散々言いつつも、フラフラしている鬱くんを放っておけないのは私の昔からの性格だった。
別に鬱くんに限らず、フラフラと居場所を探し求めては頼ってくるような所謂『クズ男』に、私は昔から弱かったのだ。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
