21話 ページ21
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元々、家に来るタイミングも来たり来なかったりと我が道をゆく気まぐれな鬱くんだったけれど、休みの日は必ずと言っていいほど家に訪れていた。
前の日に来ていなくても、昼ごろ起きたら「腹減ってんけどー」とソファの上に寝転がっていることも多々あった。もはや我が家より我が家だった。
ただ、私とてその好き勝手さにいつもいつも振り回されている訳では無い。
確かにここ最近、鬱くんに甘い自分に託けて幼馴染のわがままと気まぐれな行動を許している節もあったけれど、たまには私だってガツンと言う日もあるのだ。
「ねぇ、鬱くん」
歯ブラシを咥えつつ洗面所から出てきた鬱くんに声をかける。
スウェットに手を突っ込みお腹をかいているそのお腹が最近肥えたことはわざわざ指摘せず、首を傾げたその顔に向けて言う。
「買い物付き合って」
「ふくでもかいいくん？」
歯ブラシの隙間からモゴモゴと投げかけられた疑問に首を振る。そんなデートのようなことを自ら申し込むわけもない。
冷蔵庫にチラリと目をやり、ため息混じりに再度呟く。
「鬱くんが食べ過ぎるから、冷蔵庫空っぽなの」
ぱちぱちと数回瞬きを繰り返し、くるりと踵を返して洗面所へ引っ込んだかと思えば、そろりとドアの隙間から顔を覗かせる。
「………最近太ったん気ぃついとった？」
「そりゃ、見ればわかるよ」
「やめてや、見んといて」
バツが悪そうに目を逸らす鬱くんに首を傾げる。そういうの、気にしないタイプじゃなかったっけ？
俯きがちにお腹をさするその仕草は太ったことを気にしている姿そのもので、らしくない一面に私は心配になってしまう。
「どうしたの、太り過ぎで健診引っかかったの？」
「……お前、たまにマジでわざとかって疑ってまうねんけど、その鈍さ」
今それ関係ないじゃん、と思ったけれども、ぶすくれた顔をした鬱くんを前に余計なことを言うのはやめた。
「しゃーないよな、Aのごはん美味しいねんもん」と盛大に責任転嫁されたのは気に入らなかったけども、やっぱり『美味しい』と褒められればどうしても怒る気力も削がれてしまう。
それから、意外とあっさり買い物に付き合うことを了承してくれた鬱くんと共に、スーパーを目指す午後1時。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
