【刀剣乱舞】時間遡行軍に愛された少女＊完結＊ (ページ45)

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番外編2　散ってしまった花ページ45

一「……A？」

夕餉の手伝いをしているとき。

なんだか嫌な気配が……Aの気が消えた気がした

一「申し訳ない、誓くここを任せてもよろしいでしょうか…？」

遊「ん？あぁ、いいが…」

一緒に調理をしていた遊佐殿にそう告げると、私は急いで厨を出た

私は急いで自分たちの部屋の襖を開けた

主殿に、Aと私と薬研の誤解が解けたあと、同じにしてもらった部屋。

……おかしい。

Aの戦装束がここにあるのに、Aの神気が一切感じない。

……どういうことだ

薬「いち兄っ！！！」

すると私の次に薬研が部屋に入ってきた

急いできたのか、はぁはぁ…と肩で息をしている

一「薬研…Aの神気が…っ！」

薬「あぁ、あぁ…！！わかってる、どういうことだ…！？」

一「………探そう」

私たちはすぐに部屋を飛び出した

一「はぁ…っはぁ…っ」

薬研と二人で手分けして探すことにしたのはいいが見当たらない…っ

肩で息をして、キョロキョロと本丸内を一生懸命探す

すると向こうの廊下に彼方殿がいるのが分かった

一「彼方殿っ！！」

私が呼ぶと彼方殿はゆっくり顔をこちらに向けた

彼「…一期一振」

私は彼方殿のところまで走ると、彼方殿に問い詰めた

一「Aを見かけませんでしたか！？Aの姿がみあたらないのです…っ」

彼「Aちゃん？さぁ……どこだろうね」

彼方殿は曖昧に笑うと私にズイッと手に持っていた野菜を渡す

……これは

彼「はい。これ、今日のお味噌汁の具材だよね？」

私はその野菜を受け取りながらも……彼方殿の言葉に眉をひそめた

一「何故…………それを知っておいでで？

　私はAに野菜を取ってくるように頼んだのですが」

すると彼方殿はニコッと笑った。誰もが見惚れるくらい綺麗な笑顔で。

彼「さぁ…………なんでだろうね」

彼方殿は笑う。背中がぞわっとするような笑顔で。

一「……っ！」

彼「…ふふふっ」

彼方殿は呆然とする私をみてまたクスクス笑う

その声はひどく優しいものなのに

いつまでも耳にまとわりつくようなそんな不気味な声だった

花はいつしか散る。

手折られた花は

もうその姿さえ何処かに消えてしまった。