手話 ページ7
Aさんと会う約束をした日。 俺はAさんと初めて会った公園に軽い足取りで向かっていた。楽しみすぎて中々眠れなかったのは内緒ね。
俺がAさんに話し掛けた場所の近くにベンチがあったからそこに腰掛けて待つ事にした。約束の時間までは1時間弱もある。早く来すぎちゃった。でもAさんを待たせるより全然いいや。
約束の時間の15分前にAさんは聴導犬のきなこと一緒に来た。俺を見つけた途端安心したように笑ったのを見て心臓がドクンと大きな音を立てた。やっぱりそうなのかなぁ。今はそれらを全てスルーして、Aさんに近付いた。
そして覚えたての手話を使った。実践は初めてだから上手くできたかは分からない。
［こんにちは］
俺の手話を見たAさんは驚きに満ちた顔で俺を見た。あれ、こんにちはってこれじゃなかったっけ？おかしいな、こんにちはとありがとうは絶対に使うと思って最初に頭に叩き込んだ手話なのに。
暫く放心状態だったAさんだけど我に返ったようだった。鞄からスケッチブックを取り出してペンで何かを書く。
《手話、使えるの？》
違うよ。俺、Aさんに出逢う前まで手話なんて全くできなかったよ。全部、Aさんと筆談以外に話す方法が欲しかったからなんだ。
そう伝えたかったけど、まだそこまでは手話で伝えられない。だからこれ以降はスケッチブックでの筆談する事になるけどごめんね。
《Aさんと話がしたくて少しだけ覚えたんです。まだ挨拶くらいしか覚えれてないんですけどね》
《ううん、それだけでもう充分だよ。嬉しい》
やっぱり文だけ見ると素っ気なく感じるけど、Aさんの顔を見ると頬が赤く染まっている。照れてる、可愛い。本当に嬉しいって思ってるのが分かる。よかった、俺の努力は無駄じゃなかった。
本当はもっとAさんを見ていたいけど、あんまり見てるとAさん怒りそうだし辞めとこう。早速今日の本題に入ろうかな。
《Aさん、今日はどこで絵を描くんですか？》
《前描いてない場所がいいな。ここら辺は前に描いたから違う場所に行きたい》
じゃああっちの方かな。スケッチブックに大きく矢印を書いて、空いてるAさんの左手を握ってゆっくりと歩き出した。しまった、勢いで手握っちゃった。
ちら、とAさんを振り返ると顔を真っ赤にして忙しなく目を泳がせていた。でも離そうとはしないから、俺はそれに甘えて握る手に少しだけ力を入れた。
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瀧(プロフ) - wwwさん» 作者もです笑 作者の願望が詰まった作品になっております笑笑 (2019年7月18日 22時) (
レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
www - ああ、こんな恋したい (2019年7月17日 18時) (レス) id: 423bf3fc22 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ひなさん» そう言っていただけて嬉しいです！頑張ります(≧∀≦) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» ありがとうございます(*ﾟ▽ﾟ*) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - この小説好きです。投稿頑張ってください！ (2019年7月4日 0時) (レス) id: 0d818dd5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀧 | 作成日時：2019年7月1日 0時
