合鍵 ページ46
「じゃあ俺ら帰るから」
「うん」
「折角Aさんいたのに邪魔しちゃってごめんね」
「いや大丈夫。ね、Aさん」
《うん。撮影見るの楽しかったし、気にしないで。こちらこそ仕事手伝ってもらっちゃってごめんね》
「いやいや、むしろ貴重な体験させてもらったしAさんが謝る事なんてないですよ」
「そうっすよー！俺らも楽しかったし！おあいこって事で！」
ブンブンと両手を振るマサイに便乗してシルクが締め括った。俺達も撮影を手伝ってもらって、Aさんも仕事を手伝ってもらった。同じ事をしたって事でお互い様だ。
シルクがAさんがこれ以上謝らないようにわざと話を終わらせた事くらい分かる。シルクってAさんの事尊敬というか崇拝というか、そんな風に思ってるよね。全然いいんだけどさ。
シルク達が帰った後、Aさんに今日泊まってくか聞いた。顔を赤くして首を横に振るAさん。泊まる用意持ってきてないからだって。ちぇ、残念。
［少しずつでいいから服とか置いていっていいよ］
［いいの？］
［勿論。それなら急に泊まる事になっても大丈夫でしょ？］
これから先俺忙しくなるし、Aさんも締切あって忙しくなるから。そしたら多分中々会えなくなっちゃうじゃん。なら今の内にって思って。
そうだ、Aさんに渡そう渡そうと思ってたけど渡せなかった物あったんだ。受け取ってくれるといいな。いらないって言われたら……どうしよう。
［渡したい物があるんだ］
［渡したい物？］
Aさんに握った右手を差し出すと両手を受け皿のようにした。その掌の上にそっと手の中の物を置いた。
［合鍵。ずっと渡そうと思ってたんだ］
［貰っていいの？］
［うん。ここに来たい時に来ていいよ］
［じゃあ連絡してから行くね］
［連絡なくてもいいよ］
［それはダメ］
Aさんの性格からしてこの合鍵を使う機会ないんじゃないかと思うけど、それでも渡したかった。自分の家の合鍵を恋人に渡すのってちょっと憧れだったんだよね。ただ持っていてくれるだけでいいから。
［失くさないようにするね］
嬉しそうに笑って合鍵を眺める彼女を見てたら自然に体が動いてた。衝動的に抱き締めちゃった。俺の腕の中で身じろぎするのすら愛おしい。
今この状況だとAさんは俺の口の動きを読み取れないからから俺の言葉は彼女に伝わらない。けどそれでも言いたい。
「Aさん、好き」
どうしようもなく貴女が好きなんだ。
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瀧(プロフ) - wwwさん» 作者もです笑 作者の願望が詰まった作品になっております笑笑 (2019年7月18日 22時) (
レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
www - ああ、こんな恋したい (2019年7月17日 18時) (レス) id: 423bf3fc22 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ひなさん» そう言っていただけて嬉しいです！頑張ります(≧∀≦) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» ありがとうございます(*ﾟ▽ﾟ*) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - この小説好きです。投稿頑張ってください！ (2019年7月4日 0時) (レス) id: 0d818dd5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀧 | 作成日時：2019年7月1日 0時
