我儘 ページ42
[そろそろ寝ようか]
そう言った途端、Aさんの体が強張ったのが分かった。緊張するよね。でも大丈夫、何もしないよ。Aさんが緊張しちゃうの分かってたから別々の布団で寝るつもりだったし。
まあ、一緒に寝たくなかったのかと聞かれればそりゃ俺は一緒に寝たかったけどさ。それはいつかでいい。Aさんが俺と一緒に寝ていいよって言ってからで充分。
だから今日は別々の布団で寝る。ただ隣で寝るくらいは許してほしいな。折角の恋人との初めてのお泊まりなんだから、それくらいはしたい。
寝る前にやる事全部終わらせてからAさんがお風呂に入ってる間に用意しといた布団を敷いてる部屋に案内した。俺がいつも使ってる布団の隣に少しの隙間を空けて布団を並べてみた。
[こっち使ってね]
[うん]
Aさんはそろりそろりと布団に腰を下ろしてぺたんと座ったけど動きが物凄い不自然だった。俺の想像以上に緊張してるなぁ。何にもしないから安心してほしい。
そう伝えなきゃいつまでもAさん緊張しっぱなしだし、伝えよう。何にもしないよと伝えれば顔を真っ赤にして俯いちゃった。今日は何もしないって誓ってなかったら手を出す所だった。
そうだ、もう寝てしまおう。そうすれば大丈夫。Aさんを布団に押し込んでから電気を消した。自分の布団に入る前にAさんの隣で伏せて寝る体勢のきなこの頭をそっと撫でておいた。相変わらず反応はなかったけれど。
布団に入って、Aさんの方を見る。バッチリと目が合った。さっと布団を被ったのを見て我慢できずに声に出して笑った。何でそんな可愛い事するの?もう……。
腕を伸ばしてAさんが頭から被ってる布団を2回軽く引っ張る。目だけを覗かせたAさんに笑いかけた。
「おやすみ」
俺の声は届いていない。でも何を言ったのかは理解できたみたい。Aさんもおやすみって口パクだったけど返してくれた。こんなに嬉しいおやすみは初めてかも。たったこれだけで幸せだと思う。
「……Aさん」
寝る前に我儘を言っていいかな。嫌なら嫌って言ってくれて全然いいから。彼女の目を見て言う。
「手、繋ぎたいな」
Aさんと手を繋ぐの好きなんだ。家の中なら誰の目を気にする事なく手を繋げるし、Aさんの体温を感じたい。
返事より前に、Aさんの右手が俺の左手と重なった。俺よりも一回り小さいけど温かい手。指を絡めると少しだけ握り返してくれた。
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瀧(プロフ) - wwwさん» 作者もです笑 作者の願望が詰まった作品になっております笑笑 (2019年7月18日 22時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
www - ああ、こんな恋したい (2019年7月17日 18時) (レス) id: 423bf3fc22 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ひなさん» そう言っていただけて嬉しいです!頑張ります(≧∀≦) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» ありがとうございます(*゚▽゚*) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - この小説好きです。投稿頑張ってください! (2019年7月4日 0時) (レス) id: 0d818dd5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀧 | 作成日時:2019年7月1日 0時