【短編集】おもいとは。【prsk】

神代類・互愛 ページ5

※自傷表現あり※



『類ー…って何してるの』


私の彼氏の家に遊びに行くと、類が手首を切っていた。
手首から赤い鮮血が流れて、カーペットに染みを作る。

物事をよく知らない。と言われている私でも類が何しているのかはすぐにわかった。



『類、るいやめなよ』

そう言っても類は虚ろな顔をして切り続ける。
夢中になって此方に気がついていないようだ。


そんな類に腹がたって、どうしようもなく悲しくて、無理やりカッターを取り上げた。



「…A」

類が感情の篭っていない声で私の名前を呼んだ。
そして左手を後ろ隠す。


『もうバレてるよ』
「…返してくれないかな」
『どうしてこんなことしたの』
「関係ないだろ！」


類が声を荒げた。
こんなに感情を露わにする類は初めてで思わず方が揺れる。



『関係、あるよ』

涙が溢れてきた。


『だってわたし、るいの彼女なんだよ？』


声が震える。
そんな私を類は「しまった」とでも思っていそうな表情で見つめた。


『なんで、話してくれないの』
「それは…」
『…あっそ、なら、いい』



類から奪ったカッターで、自分の腕を切った。
赤い血がぽたぽたと流れる。
少し遅れて痛みがやってきた。


「A！？やめてくれ、何をしているんだ！」
『…こんなに、痛いんじゃん』


声を振り絞る。


『類は私がした時どう思った？辛かった？私も同じなの。分かったらもうしないで』




そう捲したてる私に、類は罰が悪そうに目を伏せた。

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