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高木の心にまだあの人がいるとして
気持ちはだいぶ俺に傾いてきてるはずだ。



初めての高木との夜だって俺は平然を装って
はぐらかして、やめろって、酔っ払い、
なんて言葉を羅列した心の中。


高木をあの時ぶん殴ることもできず、
初めての経験をあっけなく奪われて
自分の気持ちを見透かされてるようで嫌だった


好きになったのなんて、随分前のことだし
あの人から相談だって受けてる俺は
このやり方が間違ってると思う。


でも、ごめんね



俺も高木が好きで
欲しくて欲しくてたまらないの、
今度の生放送前に攻められても構わない
どんなひどい言葉を並べられても


だから、


｢っ、はぁ、…｣


｢もうやめよっか、声でなくなるよ？｣

｢やだ、やっと好きって言えたんだから、｣

｢…はぁ、もう…｣




重なった唇
絡まった指先
少し明るくなってきた外


駆け引きなんて俺にはできないし
馬鹿みたいにホントのことを言うしかできない



でも、ずっと言わないで隠してきたんだ
ちゃんと2人の幸せを願っていたよ？

でも、でもね





｢…雄也、俺のこと好きになってくれる？｣

涙でよく見えないその顔は一体どんな顔だろうか

｢…もう、光くんのことしかかんがえられないよ｣

｢っ、ぅ…ん、｣


この言葉が


嘘でも

ホントでも



遠くない未来
俺だけの雄也になる日が来ますように。



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＊くじら＊

PINK/八乙女 光

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