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｢あ、わり。電話だ…って光かよ。
────もしもし？なに…うん、そう。侑李。…っふは、マジで？｣


電話しながら左手で煙草をくゆらせて、面白そうに話す宏太とは裏腹に僕は面白くない。


侑李、って、ひかにも呼ばれたいな。
宏太からの"侑李"はメンバーを超えた友達の証。
ひかからの"侑李"は…もちろん、ねぇ？


｢はいよ、んじゃーな。
────つーわけで侑李、今から光来るから｣

｢っへ、ひか？なんで、｣

｢もしかして嫌だった？｣

｢そういうことじゃなくて…僕いていいの？｣



目の前で二人の絆、見てなきゃいけないの？
そんなの仕事の時だけで充分。
プライベートでまで見たくなんてない。


宏太のばか、本当にこういうことに関しては鈍い。
ぎし、ぎし…って心が汚い音を立てる。


.


いつもと変わらないダサめの服装、でもひかが気合いを入れる日に着ると雑誌で言っていたジャケットを羽織っている。


｢〜でさ、かわいくない？光も早く相手作れよ｣

｢っるせ、いらんこと言うなよ｣


彼女の惚気を語りながら揶揄う宏太の肩をぱしんと叩いて、ひかはグラスを煽った。


その顔、多分、ひかには好きな人がいて
…この場合それは宏太のことで。
決して僕のことなんかじゃない。


ひかはいつから宏太のことが好きなんだろうか。
僕はいつも通りなんでもないような顔をして笑う。
心の中は、真っ白な画用紙に鉛筆でぐるぐるをいっぱい描いたように、黒くぐちゃぐちゃに染っていくのに。


.

｢今日は俺と光で割り勘な｣


食事が終わって、バイバイの時間。
二人と僕とは家が逆方向だから、くるりと背を向けて歩く。


好きな人の幸せを素直に願えるほど大人じゃない。
宏太を見て笑うひかを見る度に気が狂いそうになるんだから。
幸せなら僕と一緒に作って欲しい、なんて…そんな心、消えちゃえばいいのに。



｢っ知念！｣

｢…っひか？｣

｢あの、なんつーか…その…｣


宏太と一緒に逆方向へと歩いていったはずなのに。


伏し目がちに下唇を噛むその顔、


｢あー…、｣


帽子を脱いで頭をわしわしかいて、また帽子を被り直すその落ち着きない動作、


｢よかったら、飲み直さない？…二人で｣


もしかしたら、僕とおんなじ気持ちなのかななんて勘違いしちゃってもいい？


もし、間違えていたとしても
僕はこれからもずっとあなたが好きだよ。




《Shee.》


アナタノセイデ/Sexy Zone

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