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光は実は誰よりもよく考えていて、それを上手くまとめて口に出すのが苦手なだけ。
周りが思っているよりもずっと頭の回転が速いのも、俺が好きな光の1つだった。



｢俺がもしやぶを選んでなかったら、せっかくの休みにサッカーに行かれることもないし、悪いタイミングでちょっかい出されて腹立つこともないし、お気に入りのお皿を割られることもないよ。
────でも、その代わり俺の隣にやぶはいない｣

｢…何かを得たら、何かを失う？｣

｢そう。
俺はやぶにかけられる迷惑、嫌いじゃない。
だからやぶといんだよ｣


わかる？って睨みつけてくる目は涙で揺れて、ああ、俺はまたミスしたな、と気づく。


｢ごめん、光｣

｢別に？やぶがどう思ってるかは知らないけど｣

｢俺は光以外を選べばよかったなんて、思ったことはないよ｣



どうやったら光を笑顔にできるのか。
どうすれば光をもっと支えられるのか。
どうやったら、ずっとずっと光の隣に立てるのか。

そういう"たられば"だったら、考えてもいいだろ？



｢俺ばっか光に甘えてるみたいで悔しいんだ。
頼りないかもしれないけど、お前ももっと、｣

｢やぶっていう存在にとっくに甘えてんだけど。
わかってないの？鈍感｣


ぎゅ、と俺のスウェットのポケットあたりを握る光の耳は真っ赤だ。


｢はは、わり｣

｢俺だって、やぶを選ばなきゃよかったなんて、思ったことない｣

｢うん｣

｢ばか。ほんとばか。俺より絶対お前の方がばかだ｣

｢ふふ、うん。そうかも｣



きらきらひかる金髪を引き寄せて、随分とたくましくなった恋人を抱き締める。


｢あー、やっぱ光がいねぇとダメだな｣

｢…しゃーねぇからずっといてやるよ｣



へへ、って嬉しそうな声が胸に溶けて染みていく。




《Shee.》

タラレバ流星群/ロザリーナ

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