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「朱李ちゃ、…ぐすっ」


駅員室の前でまた泣き出した圭人と、そんな圭人をぐっと引き寄せた俺を見て何か察したのか、


「うちママが迎えに来てるよ。
一緒に帰ろ、ね?」


心配そうに笑って、改札の方を指さした。


朱李ちゃんのパパの薮くんは、うちの両親と圭人の両親と高校が同じで。
ママ同士も仲がいいから一人っ子の俺と圭人にとってはお姉ちゃんみたいな存在だ。


「あれ、どしたの?こんなとこで会うには珍しい二人じゃん」

「ママ、二人送ったげて?」

「いーけど…どうした?」


うちのママはセクシー美人系、圭人のママがクールビューティ系なら朱李ちゃんのママ…侑李くんは完全なるかわいい系。

…そりゃこんな綺麗な男の人ばっか見てたら俺の目も肥えるよな、なんて関係ないことを思ってる間、圭人がぽつぽつと事情を話してた。


「…はぁ。ごめんね、嫌な事聞いて」

「んーん、大丈夫…」

「ふふ、雄也は圭人の王子様だね?えらいえらい」

「は、そんなんじゃねーし」

「僕と宏太の出会いね、僕が痴漢されてたのを宏太が助けてくれたんだよ?」

「え、そんな少女漫画みたいなことあんの?」

「あるんだよねぇ。
男のくせに男に触られてなんも出来ないなんて、って悔しくて怖くてさ、そんな時に助けてくれたからほんとに王子様かと思っちゃったよ」

「でもパパ、ママの尻に敷かれっぱなしだよ?面影ないよね!」

「くふふ、そうかもね?」


確かに普段、クールな侑李くんからズバッと怒られてはしょんぼりしてる薮くんからは想像つかないかも。

でもやっぱ、会う度に"でっかくなったなー!"ってにこにこ頭を撫でてくれる薮くんはどこか大人の余裕があってかっこいいんだよな。


「圭人、ひかか涼介に連絡ついてんの?」

「ううん、二人とも忙しいから」

「あら、うちでご飯食べてく?」

「い、いいよ!お母さん料理作ってくれてるから…」

「侑李くん、俺圭人んち泊まってく。
だから大丈夫だよ」

「そう?」


後部座席に並んだ俺と圭人。

勝手に泊まるとか言ったけど、
きゅ、と俺の制服の裾を握りしめてくるから嫌ではないらしい。

そりゃあんな目にあったあと一人でいたくねーよな、普通。

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Shee.(プロフ) - とまとさん» ありがとう!上手いこと行けばあります!← (2018年11月1日 17時) (レス) id: 8e67ef454c (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 完結おめでとー☆彡スピンオフあるの?!って喜んでます!☆連打できないのが悲しい(´;ω;`)楽しみにしてます♪ (2018年11月1日 16時) (レス) id: 561587332a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Shee. | 作成日時:2018年10月24日 23時

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