愛を知らない夏 ［Taiga］

また ページ6

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日も沈んだ仕事終わり、
昼に比べたらちょっとは暑さも和らぐ夜。


それでもむわっとした風はそのままで
夏を恋しく思った。





こんな梅雨を耐えてる自分にご褒美、ってことづけて、
コンビニでお酒とスイーツを買うことにした。




いつものようにアイスコーナーを覗いて、
スイーツも見てみようと思いスイーツコーナーに行くと

どこかで見たことある、



というか今日の朝見た。





人も少ない夜のコンビニ。

スイーツコーナーの前に立つ男女。

彼と、わたし。





わたしの視線に気づいたのか、
ゆっくりと横を見るその人。



ぱちぱち、とまばたき。
「あれ…今日電車の、」



「あ…ですよね？今日はほんとにすみませんでした」

今朝の恥ずかしさと申し訳なさを思い出して
また謝ると

「いやいや、全然いいんです…でも、また会うなんて」

彼が、少しうつむいてはにかんだ。

その仕草があまりにも魅力的で、
言葉が出なかった。


…わたし、こんなにチョロかった、？






「…あ！ごはん、もう食べちゃいました？」
と彼が言う。

「っ、いえ、まだです」
「じゃあ、一緒にどこか行きません？せっかくこうやって会ったんだし」




何も買わないまま、2人でコンビニを出て
彼の斜め後ろをついていきながら、背が高いんだなあなんて、意外に広い背中を見つめた。



さりげなく車道側を歩いてくれるのは、
意識的なのかそれとも無意識なのか。




…女の子を扱うのに慣れてるのかな、なんて


大人になってしまったが故に
悲しいことを考えてしまう。


「僕が、よく行くお店があるんです。そこでもいいですか？そんなにおしゃれなところじゃないけど」

そう言った彼が連れてきてくれたのは
赤ちょうちん系の、大衆居酒屋。


お店の前で「ここでよかったですか…？勝手に連れてきちゃったけど、、」と急に申し訳なさそうな顔になるから、

「こういうところ、好きです」と返すと
「よかった、」と笑顔になるから、


もう最近あった嫌なことなんて
全部どうでもいいとさえ思った。



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