愛を知らない夏 ［Taiga］

汗 ページ31

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薄暗くなった夜。
夜は少しだけ、涼しい。



大我が来る前に
軽くお風呂だけ入って、

部屋着に着替えておいた。







わたしの部屋にやってきた大我は、大荷物で。



「え！どうしたの？」

「ごめん、ちょ、置かせて」
と両手に持った袋を床に置いた。



「汗かいてるじゃん、」

大我の髪をかき分けるように指を入れると、
少し驚いたように目を丸くして、ふにゃ、と笑った。


いつもみたいに"ただいま"と呟きながら
自由になった両手で、わたしの背中に腕を回すから

わたしも腕を回せば、汗ばんだ背中。


「Aいい匂いするー……あ、待って、俺くさい？」
「…ちょっと」
「あーもう最悪だわ」


すぐにわたしから離れて、
"うわ、あー、ん？"ってひとりでぶつぶつ言いながら
自分の体をくんくん匂ってるのが、あまりにもかわいくて笑ってしまう。


「シャワー浴びる？」と聞けば
「…うん、借りてい？ごめん」と困ったように言った。



「これ、ここ置いとくね」と
袋をリビングのテーブルに置いて、
自分の部屋着を持ってお風呂に小走りで向かった。


なんだろう、


ひとつ、袋の中を見ると、2人分のスープが入っていた。
他の袋には、ごはんやおかず。




食べようと思って買ってきてくれたのかな。

普通に嬉しくて、頬が緩むのがわかった。





お風呂の大我に、声をかける。
「大我？」

一回呼んでみたけど、シャワーの音で聞こえないみたい。

少し扉を開けて、呼んでみる。
「大我、」
「んー？」

シャンプー中で、頭を泡だらけにして瞼を閉じたまま振り返った。


わんこみたい。


「ふふ」
「なぁに、」
「あの袋の中身、出しちゃってもいい？」
「あ、うん、ありがとう」
「はーい」


冷蔵庫から飲み物を持ってきて

袋から出して、ひとつずつテーブルの上に並べる。




まだ温かくて、
見た目もすごくおいしそうで、お腹すいてきた。




大我、早くお風呂終わらないかな、って思った瞬間
ちょうどお風呂場の扉が開いた。



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