愛を知らない夏 ［Taiga］

何気ない (9/7) ページ28

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夏が終わりかけているのか
秋がすこしずつ忍び寄りはじめているのか

どっちつかずの
まだまだ暑い季節。





涼しい部屋で、
すきな人とテレビを見ながら、

幸せな時間。





ふたりで、ごはんを食べながら何気ない会話。

わたしの作ったごはんもいつもおいしそうに食べてくれるし、今日は大我が作ったごはん。


「どう？おいしい？」
「うん、すきな味」


"そっか、よかった〜"って
嬉しそうに口角をくいっと上げて目を細めた。



「最近、よく会うね」

本当に、なんの気無しに発した言葉だった。


大我の表情が、一瞬固まったのがわかった。
「ん…やだ？」

もぐもぐしていた口を一旦止めて、
わたしをジッと見て言った。




「ううん、どうしてるのかなって、…他の女の子とか？」

これを聞くのはめんどくさい女だろうか？
でも、"セ フ レ"なんだし、妥当な気もする。

自分の気持ちだって、曖昧なライン。




「…あー、めんどくさくなったから、バイバイしちゃった」
そう言って、またごはんを食べ始めた。


なんて、言ったらいいんだろう。
わたしから切り出したくせに、
どんな返しがいいのかわからない。

しかも、ただ"どう返すか"だけじゃなくて
大我にはどう返したら嫌われないだろうか、と考えてしまっている自分に嫌気がさす。


「いつか好きって言われるなら、今のうちに離れてたほうがいいかなって」

すこしトーンの落ちた声で、
ゆっくり、話してくれる。


ああ、この人は
本当に心の底から、優しすぎる人だ。


優しすぎるが故に、傷つけてしまう人。




そんな、子犬みたいな
怒られている子どもみたいな目で見ないで欲しい。


怒っているわけじゃないんだよ。

…ただ、あなたのことが好きなだけ。




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