愛を知らない夏 ［Taiga］

手の中 ページ24

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どんどん会う頻度が増えるけれど、

会うたびにしてるっていうわけではなくて。



ただ2人でテレビを見てごはんを食べて
…たまにギターを聴かせてくれるようになった。



わたしの部屋に来るときも

仕事でよっぽど疲れたのか、ソファで眠っていることがよくある。


わたしが毎回「スーツ、シワになるよ」と無理やり起こして脱がせるから、そのうちわたしの部屋に自分の部屋着を持ってきて、帰ったらすぐ着替えてる。


スーツ着てるとかっこよくて仕事ができる人なのに

半袖短パンだと急に幼くなる。





テレビから聞こえた大袈裟な笑い声に気付いて
音量を小さくする。




彼にブランケットをかけながら


他の女の人も彼のこんな姿を見てきたのかな、
彼のこんな姿を見てほっとける人はいないだろうな、と考えてた。




彼は手にスマホを握ったままで。

寝落ちしちゃったのか。






そっとその手からスマホを取り上げて



見るつもりはなかったけれど、目に入ってしまった、彼のLINEの画面。


トークの欄に並ぶのは、
やっぱり女の子らしき名前。


…でも、ほとんどに「ごめん」とか「会えない」とか、そういう言葉を返してる。



どういう、つもりなんだろう。

セ フ レ は切っていくつもりなんだろうか。
いずれ、私も…？




彼を、こんなふうに見ていられるのも
今のうちだけなんだと我に返った。


『どこにも行かないで』って
こっちのセリフだよ。

だって、とっくに
大我がいなくちゃ生きていけなくなってる。

…それは大袈裟だとしても、そのくらい、
大我を"好き"になってる自分に気づいてる。


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