愛を知らない夏 ［Taiga］

彼氏の存在 ページ22

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「ねえ、こういうのってさ、彼氏になんて言って来てるの？」

毎度恒例の、ふたりのお風呂時間。



疲れすぎて、そのまま寝ちゃうこともたまにあるけど
彼はこの時間がお気に入りらしく、わたしが眠たそうにしてても「洗ってあげるからね」ってお姫様抱っこして連れて行ってくれる。


でもたぶん、アイスが食べたいだけ。





アイスを持って行って、
2人で食べる。


静かな夜に、
甘い温度が溶けていく。


…他の女の子ともこういうこと、してる？


なんて、聞けないよ。
聞きたくないもん、事実だとしても。



２人で湯船に浸かって、
ゆっくりおしゃべり。



「もしかして彼氏はこういうの許せる派？」

「こういうの？」

「うん、こういうの」
と言いながら、"あーん"とわたしの唇に
スプーンに乗せたバニラアイスを近づける。

わずかに開いた口から覗く舌が艶やか。






あむ、と食べると
満足そうに口角を上げた。









彼氏と、別れたんだ。



そう言ってしまえばいいのに
どこか心の中で、教えたくない自分がいる。




だって。

大我には"替え"がいくらでもいるだろうけど
わたしには大我だけなんて。



なんか、悔しくて、認めたくなくて。
変なところで意地を張ってしまう。






「優しいから、許してくれるよ」
「そっか」
「うん」

自分で言って、自分で悲しくなる。

「Aは、彼氏のこと好きなんだね」
「…うん」

少しうわずってしまったけれど
大我は気づいていないらしくて

大人2人が入るには、狭い湯船の中で
わたしをぎゅっと抱きとめた。





すると、ふとわたしの体を反転させて向き合った。


溶けたアイスクリームをスプーンに乗せて、
わたしの胸元に一滴、垂らした。



戸惑う間もなく、
大我が綺麗に舐めとって「あまい、」と一言呟いた。



もう全部舐めとったはずなのに、
まだ舌と唇でわたしの胸を愛撫しつづける大我にすこし驚いていると

急にキツく吸い付いて
途端に真っ赤なアトをつけた。


「大我、？」
「ふふ、彼氏にバレたら怒られちゃうね」


そう言いながら、細い指先でわたしの胸を優しく撫でるから、わたしは思わず大我の頭をなでてしまった。

すると、わんこみたいに機嫌を良くするもんだから
より一層愛おしくなってしまうんだ。



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