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デノン「…何の騒ぎだ?」


私がこの文書を書いた犯人を探そうと辺りを見回していると、デノンさんは事の成り行きを見ているどころか、たった今食堂に入ってきた。

怪訝な顔をして、まだ髪には寝癖がついてる。完全な寝起きで、嘘はついていない様子だった。
じゃあこの文書を作ったのは…デノンさんじゃない。

背筋が凍える。じゃあ、誰がこれを…?

食堂の入り口で怪訝な顔でこちらを見ていたデノンさんは、私のとなりにある机の上に、1枚の紙が置かれていることに気がつき、近寄ってきた。

『お、おいやめろ、近づかない方がいいぞ』

紙を見ようとすれば当然、紙の近くに立ってる私に近づく事になる。それを青い顔をして周りにいた兵士が止めようとするが、デノンさんは構わずその文書を見て、僅かばかり目を見開いた。

「デノンさん…」

何を言ったらいいのか、どんな顔をしたらいいのか分からず、手が震える。
謝る?それとも、違うと嘘をつくべきなのか。

分からずにただ口をぱくぱくさせていると、デノンさんは溜め息を吐き、机の上にある紙_文書を手にとって、ビリビリに破いた。

「え…」

デノン「お前ら、本当にここに書かれてることが本当だって思ってんのかよ?このガキが?悪魔?
このチビで貧弱そうなガキの女が、かの有名な大量殺人鬼だと?」

皆唖然としてデノンさんを見ている。

デノン「そもそも、この文書には証拠が何も書かれていないじゃねぇか。それに、”地下街の悪魔”が憲兵に捕まったって知らないのかよ。
…お前ら、証拠もないのに人を疑って無駄な内戦を起こそうっていうのか」

デノンさんの言葉に、皆完全に納得した様子では無さそうだったが、肯定の言葉が所々から上がった。

『まぁ、内戦してる場合ではないな』
『そうだ、皆疲れてピリっちまってたな』
『早く飯食って身体休ませようぜ』

場の空気が、若干緩和され皆それぞれのやりたい事のために、机から、文書から離れていった。

…私の事を庇ってくれた。
私の事を”地下街の悪魔”じゃないと、そう思っているのだろうか。でも昨日のあの会話は、完全に私に鎌をかけてきていた。上手くかわせた自信もない。
…なら、どうして。

「デノンさん…」

デノン「…おい新兵、今は黙っとけ。場所を変える。団長室だ。…兵長もきっとそこにいる。来い」

デノンさんは私と目も合わせず、歩いていってしまう。私はその後を遅れないよう一生懸命追った。

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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時

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