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前夜 ページ18

晴れて正式な調査兵団の兵士になってからは、時が過ぎるのは早かった。兵団の皆は、たまに批判的な声を聞くこともあったが、思った以上に温かく私のことを迎え入れてくれた。

私の意向で、早くに兵役違反の懲罰を終えたコットさんと、相変わらずなデノンさんと、そのまま班に残ることになった私達は、次の壁外調査に向けての準備を行っていた。

リヴァイ「怪我の調子はどうだ」

「思ってるよりずっといいです」

リヴァイ「…無茶はするなよ」

もうすでにその壁外調査も、明日に迫ってきてる。
もう誰も被害を出したくない。

明日の壁外調査は、ハンジさんによる巨人捕獲作戦を最優先とした調査。私達特別作戦班は、巨大樹の森でハンジさん達が無事に捕獲している間、辺りの見張りをし、近づいてくる巨人を討伐する係。

デノン「いいか、実質次がお前の初陣だ。ひとりで全てやろうとせず俺達を頼れ」

コット「もし怪我が痛むようなら、見張り部隊の後援にしてもらうよう頼むことも出来るし、無理はしないように」

一時、私を敵として見ていたふたりと、同じ敵、同じ目的のために戦う、なんて。
きっとまだふたりの気持ちが晴れたわけではないだろうに、こうして優しく接してくれることに心が痛んだ。

「はい。…ありがとうございます」



「…眠れない」

もしかして明日の壁外に向けて、緊張でもしているのだろうか。
時計の針はもうすでに零時を回り、夜も更けている。

仕方がない_少しだけ散歩でもして気を晴らそう。そう思って兵舎を出た矢先、リヴァイさんに出くわした。

「リヴァイさん…」

静かな兵舎に、私の声が木霊する。

リヴァイ「抜け出しか?兵役違反とはいえ、あまり褒められることではねぇぞ」

「ご、ごめんなさい」

リヴァイ「まぁ、とはいえ…俺も人のことは言えねぇな」

リヴァイさんがため息を吐くと、ふわりと白い息があがる。もう夜は冷える時期だ。

「リヴァイさんは、何故ここに?」

リヴァイ「恐らく…お前と同じだ」

リヴァイさんは身を翻し、「早く来い」と私に背を向けた。

「え、」

リヴァイ「散歩だ_お前もそうだろ。何せ、この夜道にガキひとりで行かせられねぇ。
あとこれ着てろ…そんな薄着じゃ風邪引くだろうが」

リヴァイさんはふわりと私に自身の上着をかけてくれた。身体が芯から温まり、何故か心がくすぐったくなる。

「…ありがとうございます」

ここに来てから私は彼に、感謝ばかりだ。
そう思いながら、彼の後を追った。

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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時

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