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そして数分後、私の_演説とも言えるこの場が用意された。
エルヴィン「君達をこんな朝早くから集めたのは、昨日食堂に置かれていた文書の正誤について。又、兵舎で立体起動装置を使用するとして兵役違反を犯したコット・ルナソルの処遇と理由についてだ。
_まずは、文書のことについてA・レナルド…本人から説明していただく」
エルヴィンさんの事前説明が終わり、私はリヴァイさんによって押された車イスで登壇する。
大勢の兵士が、たったひとりの私を見つめる。
その目は、消して優しいものじゃない。
それでも。分かってもらえなかったとしても。
リヴァイ「…胸を張れ。
_お前は、自由になるんだろ」
リヴァイさんが小さく私に耳打ちをして、ハッとする。相変わらす、私を安心させるのがとても上手いようだ。
「はい。…見ててください」
リヴァイさんは小さく頷いて、私から少し離れた場所に移動する。
私はざっと兵士を見回して、深呼吸をし、大きく息を吸う。
「…A・レナルド。私は、昨日の文書にあった通り__”地下街の悪魔”の正体です。」
下で見ている兵士たちがざわついたのが分かった。
嘘だ、あんな子供が、何で兵団に、人殺し_。聞こえてくる言葉を全て受け止めながら、私はさらに言葉を紡いでいく。
「世間にとって私は、殺人鬼であり、犯罪者であり、冷徹で残酷な悪魔です。
その事に対して、否定することも言い訳をすることもありません。私は_自分自身のことを悪魔だと、認めています」
ざわついていた兵士達が、私が話し出すと一斉にこちらを向いて耳を澄ませ出した。
そのなかに、コットさんの姿を見つける。
_私は、悪魔。貴方達とは違う、汚い人間。
でも。
「皆さんが何故巨人を殺しているのか…それぞれ理由があるでしょうが、それと同じように私にも人を殺すという理由がありました。胸を張れる理由ではありませんが_。
でもそんな汚く染まった人間に、リヴァイさんや、ハンジさん、エルヴィンさん、そして皆さんは私に普通の暮らしと、_幸せを、教えてくれました。
私は、”人類のため”とか、そんな大それた理由を掲げられる立派な人間にはまだ程遠いかもしれません。
ですが、約束いたします。私のこの力はもう、人を傷つけるためじゃなく、人を_私を救ってくださった皆のために使います。
心臓を___捧げます。
だからどうか、私を調査兵団の一員として、
仲間に入れさせてください」
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時