入団 ページ15
朝早く、部屋に響いたノックの音で起きた私は身支度もそれなりに、訪ねてきたリヴァイさんによって団長室へと連れていかれた。
エルヴィン「朝早くからすまない。足の調子は…」
「ハンジさんやリヴァイさんが早急に治療を施してくれたおかげで、何とか。_昨日あの後、私の事について話し合ってくれていたんですよね。とことんご迷惑おかけしてすみません」
深々と下げることは出来ないが、今できる精一杯の角度でお辞儀をすると、エルヴィンさんは優しく微笑んで言った。
エルヴィン「私は昨日、君のおかげで命を救われた身だ。これでチャラだろう。もう謝ることも礼を言うことも、必要はない」
「…はい」
エルヴィンさんの寛大な心に驚かされていると、急に真面目な顔をして「そして」と続けた。
エルヴィン「急ではあるが…今日の朝、他の兵士を集めて君の存在を明らかにしようと思っている。
…昨日のことが起こる前は君の過去を話すことが最善策だと思っていたが…。
君に任せる」
「え…任せるって、何をでしょうか」
リヴァイ「…自分の過去を話すも話さないも、好きにしていいということだ」
「え、そんな…」
そんな重大な役割を私に任せるなんて。私が言葉を間違えれば、兵団内で内戦が起こりかねないというのに。
エルヴィン「皆が求めているのは、私たちが作る綺麗で可哀想な話ではない。君自身の言葉で、君自身の覚悟を皆は求めてる」
私自身の、言葉と覚悟__。
この身を、心臓を、捧げる覚悟。
私は目を閉じて1度深呼吸をしてから、また目を開ける。
「_分かりました。やらせてください」
自分でも、やけに凛とした声だと思った。
部屋の張り詰めていた空気が若干緩み、エルヴィンさんがまた優しく微笑んだ。
エルヴィン「そして一応、まだはっきりと答えを貰っていなかったから問わせてもらうが__。
A・レナルド。君は、調査兵団に入団してくれるか?」
私は息を吸って、覚悟を声に出す。
「__もちろんです。人類のために、私の力の全てを使って尽力させていただきます」
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時