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私は車イスに乗せられ、コットさんが入っているという地下の牢屋まで向かった。
…地下の、牢屋。何とも嫌な響きではあるが。
ハンジ「…!目を覚ましたか」
牢屋の前で立ち尽くしていたハンジさんたちは、私の姿を見て駆け寄ってきた。
「はい。ご心配おかけしてしまいすみません」
リヴァイ「…コットは、口を割ったのか」
リヴァイさんの問いにハンジさんは言葉を詰まらせた。
エルヴィン「割ったと言えば割ったが_」
ハンジさんの代わりに言葉を引き継いだエルヴィンさんは、私の姿を見て少し躊躇いを見せた。
…私は何だとしても受け入れなくてはいけない。
コットさんから話を聞こうと、その牢屋に自分でタイヤを回して近づいていく。
リヴァイ「…!おい、」
「…!」
私は牢屋の中を見て、息を飲んだ。
中には涙も枯れ果て絶望の表情を浮かべながら、自身の頭を抱えひたすらに丸まっているコットさん。
その変わり果てた姿を見て、動けなくなった。
デノン「…ガキはゆっくり休んでた方がいいと思うが」
牢屋の側で壁にもたれかかって佇んでいたデノンさんが私を横目に言った。
…コットさんは今、私に会いたくないかもしれない。それでも、私は。
「コットさん」
私が話しかけると、コットさんはゆっくりと顔をあげて私を捉える。
瞳にはなにも映っていなくて、ただ視線がこちらに向いているだけ。
…少し前の、私みたい。
自分自身と照らし合わせてしまって躊躇っているとコットさんは自分から口を開いた。
コット「…俺には、婚約者がいた」
か細い声で語り始められた物語の結末が容易に想像できてしまって、私は自身の肩を抱く。
コット「…”地下街の悪魔”何て言うのに俺の婚約者が殺されて、俺は生きる理由を失って調査兵団に入った。…死ぬ方法を、どうせなら”人類のため”何て言う大それたものにしようと思ったから。
お前を見たとき…すぐに気づいた。お前が”地下街の悪魔”何だとな…。噂に聞いたことがあったんだ。
”地下街の悪魔”は実はなにも知らない小さな子供がやってることだ、って」
コットさんは自虐的に笑い、ため息をついた。
コット「俺はこのために調査兵団に入ったんだと思った。お前に出会い、俺とあのこの無念を晴らすためだと。だからお前の正体に気づいていないふりをした。デノンが勘づいた事を利用してお前を調査兵団から追い払い、警護が薄くなったところでお前を殺そうと思った」
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時