◆ ページ2
(リヴァイside)
Aが安らかな寝息をたて始めたのを見て、俺は物音を立てないように抜け出し、団長室へと戻っていった。
ノックをして入れば、部屋にはまだ先程の余韻からか、重い空気が漂っていて、ハンジとエルヴィンは言葉もなく俯いていた。
ハンジ「…Aは？」
リヴァイ「…寝た。気を遣うな…だそうだ。それで、これからどうするつもりだ。このままAに同情だけし続けたって、兵団はめちゃめちゃになりAは報われねぇままになる」
エルヴィン「あぁ、分かっている。…Aが皆の前で過去を語ることが最善では無かったことも、認めている。早く手を打たないとAの存在がバレ始めることも。
…とりあえず勘づきだしたデノン…いや、リヴァイ班の班員には事情を説明して理解をしてもらう。それでいくらかの応急処置にはなるはずだ」
根本の解決にはならないかもしれないが、確かに応急処置にはなるだろう。班員がAについて理解をしてもらえるのなら、他の兵士たちにたいしてもAの存在を上手く隠してくれるかもしれない。
ただ…
ハンジ「…A的に、Aが殺した父親の息子がいるっていうのは…きついことだと思う」
俺が言いたかったことを、ハンジがぽつりと言葉にして漏らした。
デノンの存在は、Aにとってやりたくもなかった地獄のような生活を思い出させる事になるだけではなく、いくら理解されたとしてもデノンの憎悪が完全に消えるとは言いがたい。
デノンもデノンで、いくらAに過去があろうと父親を殺されたことに代わりはない。
エルヴィン「…そうだな。もしデノンが理解してくれなかった場合も考慮して、＿Aは、他の班に移した方がいいだろう」
普段の俺なら、むしろこの提案をもっと早く、自らこいつらに話していただろう。
ただ俺がAを離したくなかった。あの手を離してはいけないと、さっき思ったように。
エルヴィン「…あくまでも、一時的なもので構わない。Aの効力が発揮されるのはきっと＿リヴァイ、お前の側にいる時だと、思うからな」
俺の様子を見かねてか、エルヴィンが付け足した。
リヴァイ「…別に、嫌と言っちゃいねぇよ。仕方のない事だろ。…了解だ」
Aが、兵団のためなら何でもすると言ってくれたように。
俺もまた、Aがこれ以上傷つかないためなら、何でもしてやる。
俺は一人、固い決意をした。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
