絶望のキッド様 ページ40
『…ぐっしゅん、へっぶしゅッはっっっっぐしゅッッ』
あ゛〜…とガラッガラな吐息を吐き、ずび、と鼻を啜る。
私は今、熱にうなされていた。
ピピピ、と脇から聞こえた機械音を取り出して数値を見ると、38.7と出た数字。
…初めて見るんだけど。真夏の外並の体温。私の体真夏の温度だって。笑えるわほんと!!!
昨日、キッドに連れ回されたアレで身体が冷え込んだらしく、起きた瞬間にぶっ倒れた私は、無事母親に「寝ろ」という一言で寝かされている。
そう考えていくと、頭に浮かんだのはあの事件だった。
ぼんやりとした頭に浮かぶ、キッドのゼロ距離。
『…相当、世界に絶望してたのかなぁ』
絶望して悟る寸前じゃない限りするわけもない行為だよな。
キッド様そうとう嫌なことあったんだろーなあー…
…でもアイツ、デートらしいことするからしたんじゃなかったっけ。
『アイツらしい事とか理由付けて意味不行為しやがったな!!?』
「アンタそんなに声出んなら大丈夫じゃない?」
ガチャッという扉が開く音とともに、おぼんを手に持った母が登場。
「アンタが風邪引くなんて、明日惑星振ってくるかと思ったわよ」とえげつないことを言ってきたが、これでも心配はしてくれている。
『母上様…けほっ…今日から始まった…ヒ□アカの一番くじを引いてほし…っです…げほっこほっ…』
「急に弱くになってんじゃないの。ガラじゃないんだから。」
『失礼極めケホッ…てる…げほッ』
風邪引いている我が子に対してなんてことを言ってのけるのだろうかこの親は。
もはや尊敬に値しそう。ものすごく良い意味で。
「はい冷えピタ。あとこれは蘭ちゃんからプリン。園子ちゃんからはアクエリとか」
『友の優しさに泣きそう』
「情緒安定させなさい。今日はずっと寝てなさいよ」
『へい』
パタン、と扉が閉じ、静けさが戻ってきた。
てか蘭達本当に良い子。感謝しかない。将来いい嫁になるの確定。
ゆっくり寝とけとは言われたけど、することねえしPi✕ivを覗こうとスマホに手を伸ばした。
母の言葉を10秒足らずで無視する子供は私です。
〜♪〜♪
スマホを手に取った瞬間、米津様のKlCKBACKが流れ始めた。
最近この曲を着メロにしたのは……
『けほ…もしもし、コナンく』
「Aねえちゃん!?風邪引いたって聞いたんだけど大丈夫!!?」
『わぁ』
右から左へ声が突き抜けた。
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鍵ホーム(プロフ) - あれ…もしかしてこれ終わりですか…?(泣) (4月20日 15時) (レス) @page40 id: 9881f6affa (このIDを非表示/違反報告)
カルーア - 読んでいる間ずっと笑ってました!更新待ってます、頑張ってください! (2023年5月6日 2時) (レス) @page40 id: ec66583caa (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - とても面白いお話でした!めちゃめちゃ好きなタイプのものでもう最高です!!!更新頑張ってください、次の更新お待ちしております! (2023年2月1日 23時) (レス) id: 6d1f2ce8ab (このIDを非表示/違反報告)
みるき(プロフ) - はわわわわわわ…もうほんとにこの作品好きすぎます…更新頑張ってくださいっ! (2022年11月12日 12時) (レス) @page39 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
たいやきくん - ものすごく面白かったです。逆ハーに加え新一と平次そしてキッドまで入っていてもう最高すぎます!! 次の更新楽しみにしています!! (2022年10月15日 4時) (レス) @page38 id: dd90f074e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん狐。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/purerisu27/
作成日時:2022年4月23日 22時