どこぞの怪盗、毎晩来るけどなんなんですか？

◆ ページ3

「…ふふ、盗りはしませんよ。ただ、少しお邪魔させていただいただけです。」




そう言って、私の唇前から指をどけ、にこやかに笑った謎のイケメン。
以後、謎イケメンと呼ばせていただこう。


なんかどっかで見たツラしてるけど、気にしないでおこう。



『…あ、なら良いですけど。』



いや良くねえよ自分。

え、私ってこんなよくわからない会話繰り広げる人間だったっけ。



「それにしても、貴方は私を見ても驚かないのですね。」



スタッと軽やかにベランダの柵から飛び降り、此方側に降り立った。

…よく見ればこの謎イケメン、全身真っ白のマジシャンみたいなコスプレしてんな。



『ぁいや、コスプレイヤーなんて見飽きるほど見てますし！』



両手をひらひらと振って言う。

なんのコスプレしてるか分かんないけど、きっとどっかのアニメの凄えイケメンがこんな格好してんだろうな。
デブがこんな格好してたらヤバいもんな。

慌てていると、くすくすと目の前から笑い声が聞こえる。



『…？え、なんかヤバいこと言ったり…？あ、もしかしてオリキャラのコスプレ！？』



だとしたら大丈夫かな？私地雷とか踏んでない？

困惑する私の前で、謎イケメンは「いいえ、」と笑いながら言う。




「そういう認識をされる方は貴方が初めてかもしれません。」


『………ん？』



え、なにこれどうしよう。
なに聞いたらいいのかわかんないしなに返したらいいかもわかんない。
ついでにどういう顔したらいいのかわかんない。




『え〜〜〜〜〜〜〜〜………と、お名前は？』



頭を悩ませた結果、名前を聞くという奇行。

◆→←ベランダになんかいた。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す