47 ぬくもり。 ページ47
side:狗巻
…
「……」
あれから暫くして、泣き疲れた彼女は僕に抱きつく形で眠ってしまった。
すうすうと寝息を立てる彼女をどうしたものかと周りを見渡す。
スマホは彼女の向こう側にあるため、動けない僕は連絡手段がないのだ。
目元が赤い彼女を見て、病み上がりに無理させてしまったなという罪悪感はあるけど、後悔はしていない。
(……子供みたいに泣くA、初めて見た。)
まあ彼女は元々表情が豊かな方でもなかったから、僅かなその機微に気づけるようになったのも割かし最近というか。
彼女は自覚が無いようだったが、その僅かな表情の中にも言い知れぬ寂しさや優しさが言葉に溢れていて、彼女の隣は酷く居心地が良かった。
生まれながらに呪ってしまう力があったのも、勝手に親近感を覚えて、仲良くなりたいだなんて思って。
どこかでずっと燻らせていた
──彼女に怯えなくて良いと伝えるため だなんて、大義名分のもとに。
手入れの行き届いた艶やかな黒髪を撫でる。
どうか夢に落ちた彼女に、心臓の音が聞こえませんように。
「……ん、」
撫でている感覚はあるのか、きゅっと力なく僕の手を握る彼女に愛しさが込み上げてくる。
──ああ、これはきっと友愛なんかじゃなくて。
「……つなまよ」
──まだ伝えられないけど、いつか。
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時