32 夏風邪? ページ32
…
けほけほ、と咳き込む音が隣で聞こえて、Aをちらりと見る真希。
「どうした、風邪か?」
「ん〜、そうかも。最近ちょっと忙しかったしな〜」
なんて呑気にぽやぽやしているA。
「なんだか今日はちょっと寒いね」
今年は冷夏だと天気予報士は言った。例に漏れず今日も涼し気な風が吹いていて、夏と言うにはかなり爽やかな1日だった。
ちなみに明日は今日とは打って変わって猛暑らしい。
そんな夏の終わりかけでまだ暑さも残る今、彼女はそんなふうに言った。
「そうか? 若干風が涼しいくらいだと思うが」
「ああそれかぁ。風、嫌いなんだよねぇ」
冬は寒いし夏は生温いしー。なんて言いながら顔を赤くするA。
「……A、お前顔赤いぞ? そんなになるほど暑かないだろ」
寒いって言いながら顔を赤くするなんて、熱でもあるんじゃないのか。
そんなふうに思って真希がAの顔を覗き込むと、わぁと間の抜けた驚き方をしてから「近いよ」と笑った。
──近い、ねぇ。
彼女はだいぶ私たちに心を開いてくれた。けれどそれも、呪いのせいでいつまでもどこか距離を感じてしまう。
いまの「近い」だって、1人か2人ほど間に入れそうな距離だったのに。
黙っていると、「ごめんね」なんて、今にも泣きそうな顔で言う。
そんな顔させたいわけじゃない。
そんなふうに、思って欲しいわけじゃない。
それでも彼女の呪いはそこに巣食うのだろう。
──彼女の笑顔はいつも、どこか悲しい。
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時