24 狗巻くん ページ24
…
「ツナツナ」
「え、えっと……」
それは、まだ入学して日の浅いある日のこと。
暫くお互いじっと見つめていたけれど、狗巻くんがなにか思いついたような顔をして、ペンとノートを取り出した。
『狗巻棘』
よろしくねということだろうか。名前を書くと、「めんたいこ」と言った。「よ、よろしくお願いします……」
五条先生が居なくなってしまって、とにかく距離のことばかりが頭にあった時は、随分とぞんざいに皆を扱っていたように思う。
今だから気づくが、自分に相当余裕が無かったんだなぁ、なんて。
そんな私が真希ちゃんやパンダくんと普通に話せるようになったのも、狗巻くんが何かにつけて気にかけてくれてたからにほかならないだろう。
やっぱり真希ちゃんは真希ちゃんで、家庭の問題で色々あってはじめはちょっぴり厳しめの雰囲気だったし、
パンダくんは人間はよくわからんオーラ全開だったし。
不思議な組み合わせだな、なんて今もたまに客観的に思えてしまうほど。
「しゃけ。いくら?」
なんでだか、狗巻くんは頻繁に自分用の飴をくれた。
たまにパンダくんと当てっこして遊んだりはしていたけど。
ドロップ缶のチョコや、可愛いラッピングのいちごミルクなんかは私が初めて食べた時に相当嬉しそうな顔をしたのか(そんなにわかりやすいかな?)、見つけると必ず私にくれるようになってしまった。
それを申し訳ないなと思いつつも、そうした優しさに触れる度に、ほんの少しずつ皆との距離を縮められている気がした。
そのおかげで、真希ちゃんもパンダくんも次第に打ち解けられるようになっていったんだっけ。
「ツーナーマーヨー」
はっとすると、目の前でパタパタと手を振っている狗巻くん。不思議そうにこちらを覗き込む2人。
「あ、ごめん。ぼーっとしちゃった」
へらりと笑うと「疲れてんのか?」と真希ちゃんが心配そうにこちらを覗き込むが、なんでもないよと笑う。
「着いたぞ、ここかいちばんよく見えるんだと」
辺りを見回すと、鬱蒼としていた木々はだいぶ開けていて、丁度よく座れそうな場所があった。
子供たちとアナウンスの、カウントダウンが聞こえる。
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時