20 境内にて。 ページ20
…
「なんか、すごくお祭り! って感じ」
思い描いていた通りのそれに、自然と声が弾む。
「今頃か?」
真希ちゃんが呆れたようにそう言うと、マスクをつけた狗巻くんも「すじこ」とだけ言った。
「花火って、写真は見た事あるけどどんなものか知らないの」
楽しみだなあと浮き足立つ私に真希が笑う。
「帰りの電車、寝ていいからな」
「起きてるよ!先生にお土産渡さなきゃ」
「お前はモノ好きだなぁ」
呆れたような真希ちゃんに向かって「だって、私の恩人だもん!」と返した。
五条先生が居なければ、私は今も屍だった。あの半年がなかったら、呪術高専にも通えなかった。
特級呪術師で教師もしていて忙しいのに、嫌な顔ひとつせず訓練にも付き合ってくれた。
兄がいたらこんな感じなのかな、なんて時々思ったりもした。
「……こんぶ」
❁❁❁
そんな会話をしたのがつい30分くらい前。
「ま、真希ちゃーん……狗巻くん……」
一転、場所は変わっていま私は迷子です。
なんとパンダくんは人の出入りが増えると帰ってしまった。姿が姿なだけに居づらいらしい。申し訳ないことしたな。
「じゃあ私ちょっと行ってくるな。花火まで時間あるし、後で連絡するからもう少し回ってていいぞ」
そういって御手洗に行くため席を立った真希ちゃん。
……真希ちゃんについて行けばよかった。
私は今物凄く後悔している。1人でぽつんと屋台の裏に突っ立っている。
狗巻くんとは人混みに流されてはぐれてしまった。
気づいてから必死に狗巻くんの背中を探したけど、私より大きいとはいえ、どちらかと言えば小柄な方だからすぐわからなくなってしまって。
そういえば呪符……と入れてあった鞄を探る。──あれ?
スマホの裏に挟んであったはずなのに、スマホごとなくなっている。
「……え、どうしよう……」
肝心な呪符も連絡手段であるスマホも失くしてしまった。しかもこんなに規模の大きいお祭りで。
サア、と顔が青くなるのが自分でもわかった。
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時