#アンデルセン 惑溺 ページ17
外の風景は相変わらずと言って雪化粧を纏っており、私の外の世界は何も変わってないと感じる。
人類最後のマスターになってしまった平凡な私だが、ちゃんと責務を果たしてはいる。
ほら、今だってある人の為にお茶を持ってきてあげている。私ってば偉い。
『入るよーアンデルセン?』
このカルデア内では珍しいちゃんと取手のある受動的な扉である。中には資料やら一般書やら沢山の活字たちが並べられている。私はサーヴァントとして彼らと接するにあたって歴史やその人物背景は勉強したがその他は只の一般教養でしかない。
「おぉマスター。今日も茶用意してくれたのか。当然の事を出来るのもまた才能だな。」
ツンデレなのか毒舌なのか最初は分からなかった彼だが、今となっては只のツンデレと分かり親しみを持っている。
彼は規則正しく並べられた本棚の隅っこの地べたに座り込み、愛用の眼鏡をかけながら読書をしている。相変わらず見た目は小さい男の子であった。
『ありがと。お茶ここに置いておくね。』
彼の褒め言葉(?)を適当にかわしつつ、本来の目的であるお茶をテーブルの上に置く。
彼にとっては、休みとお茶が天国なんだとか。
「あぁ、マスター。ちょっと待ってくれ。」
本を読んでいる最中に呼び止められるのは、中々稀な出来事で少しビクッとしてしまう。
絶対に特別な用事である。
『な、なに?』
丸いお盆に先程まで乗っていたお茶の氷が、カランと雰囲気をガラッと変えたような気がした。
彼は読んでいた本を閉じて、元にあったであろう本棚の隙間に入れる。
そしてスタスタ、と無駄のない歩きで私がいるテーブルのところまで来た。
「…マスターは、俺の書いた本読んだことあるか?」
突然聞かれたのはそんなこと。
ハンス・クリスチャン・アンデルセンと言えば知らないものはいない。
特に日本の幼少期には絶対に一作品は読む本である。
その中でも1番好きな本を彼に伝えた。
『勿論あるよ。私が一番好きなのは‘人魚姫’かな。』
そういうと彼はフッと笑って「それは有難い話だな。」と言った。
でも、どうしてそんな事を聞いたのか、と疑問になる。彼の作品は出版した当初は人間性まで疑われるほど評判が良くなかった。
今でこそ有名な作品は多いが、彼の生涯は苦悩に満ちていたと言う。
『アンデルセン?』
いつもと違う空気を纏っている彼に動揺を隠せない。何か話したいことがあるんじゃないか、悩みでもあるのでは_____
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にょると(プロフ) - 愛里さん» こちらこそリクエストありがとうございました!!またありましたら宜しくお願いします。 (2020年2月26日 23時) (レス) id: ac6d2afe74 (このIDを非表示/違反報告)
愛里(プロフ) - にょるとさん» 孔明先生かっこいいです。ありがとうございました! (2020年2月26日 20時) (レス) id: 95c5af7e07 (このIDを非表示/違反報告)
にょると(プロフ) - えのぐさん» コメントありがとうございます!サーヴァントの表記直したつもりでしたがまた見直してみます!ありがとうございます。アンコールですか了解しました!!ドロ甘で書きますね(握手) (2020年2月16日 2時) (レス) id: ac6d2afe74 (このIDを非表示/違反報告)
えのぐ(プロフ) - それと、リクエストです!初期鯖ですこすこな始皇帝と言いたいところなんですけど多分(きっと)(おそらく)難しいと思うのでアスクレピオス先生アンコールってできるでしょうか…このコメント見れててなおかつ小説を綴る活力があればお願いします!! (2020年2月16日 1時) (レス) id: 6a2a84fe35 (このIDを非表示/違反報告)
えのぐ(プロフ) - 初めまして!!アスクレピオス先生100Lv勢なので(そういうことです)超ヒョッ…(尊死)ってなりました。あと細かいと思うんですけどサーバントではなくサーヴァントだったはず…です。間違ってたらすいません!! (2020年2月16日 1時) (レス) id: 6a2a84fe35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にょると | 作成日時:2019年8月2日 22時