爪一枚【d!】

46枚目 ページ46

貴方side


『うん。、、じゃあなんだかお腹空いたかも。何か作って貰えない？』


「おん。消化にいいもん作るな。」


そう言って、優しい笑顔を見せて私の頭を撫でてキッチンへと向かった。
トントンはいつも通りだった。
トントンはいつも通りなんだ。
そうだよ。”いつも通り”なんだよ。
いつも通り誰にでも優しくて、頼りになって、そんでもってたまに意地悪な所があって。
でも、そんなトントンが皆大好きだった。
私も当然、そんなトントンだから一緒に居た。


『そっか。、、何も変わってなんかいなかったんだ』


酷く冷静だった。
そうだよ。トントンは何も変わってなんかいない。
優しくて、頼りになって、意地悪。
それは表面の彼。何も嘘偽りなんて無かった。
じゃあ、裏面は？
私達が見たこと無いような、トントンの本音。


『、、、っ。』


考えたくないけど、、多分そうなんだろね。
コネシマみたいに、シャオロンみたいに、きっとトントンも嘘ついてるんだ。
確証なんてものは無い。
ただ、そう直感で感じたんだ。


『、、トントン。ちょっとだけ、、いい？』


「んー？どうしたんA。今ちょっと手離せへんから作業しながらでええなら聞くで？」


『うん。それで良いよ。それで。』


キッチンの方へと向かい、料理をしているトントンに話しかける。
顔は見えなくて、大きな背中が私に向けられてる。
いつもなら、その背中は頼りになるけど、今は安心出来るような感じじゃない。


『あのね、、私トントンに聞きたい事あったんだ。トントンさ、、もしかしてだけど、私に秘密にしてる事ある？』


「、、ん？どうしてそんなこと聞くん？」


『ちょっと興味あってさ。こないだシャオロンの家に来てくれた時、、なんだか様子おかしかったから、何かあったのかな？って。』


『トントンが何か悩んでるなら、私相談位乗るよ？いつも私たちに優しくしてくれてるもん。受けてばっかりじゃ申し訳無いからね。』


続く

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